15世紀のスペインから朗報。スペインから追放される数年前にスペインのユダヤ人会衆が使っていた560年前のエステル記がイスラエルへ到着し、国立図書館に寄付された。この聖書の価値は驚くべきもので、想定によるともし競売にかけたなら、数百万ドルで売れるだろうとのこと。
世界で最古で最も希少な聖書の一つである。羊皮紙に手書きで記された巻物で、中世時代のスペインとポルトガルのユダヤ人会衆に関する数少ない初めての証拠の一つである。この巻物は1460~1470年くらいのものとされており、1492年と1497年にユダヤ人がスペインとポルトガルから追放される少し前である。追放時代にユダヤ人達は、殆どの資産をスペインとポルトガルに残し、両国の王族に財産を没収された。その理由からアヌシーム派(ユダヤ教の一派)と追放者達の手書きのものは殆ど残っていない。
この巻物は中世時代から保存された唯一のものと考えられている。羊皮紙(聖書職人の間ではクラフ)の上に茶色のインクで書かれており、中世時代のスペイン・ユダヤ人会衆の特徴的な聖書文字が使用されている。最初のページはエステル記前のページで、そこにはプリム祭のエステル記を読む前と後の祝福の言葉のリストが記されている。このリストから、15世紀後半のイベリア半島に於けるプリム祭で会衆に読まれた、この巻物の会衆的地位と役割を学ぶことが出来る。
国立図書館ユダヤ教コレクション責任者のヨエル学者によると、この巻物はスペインとポルトガルにいたユダヤ人達の豊かな物質文化に関する特に希少で重要な証拠だとのこと。「この巻物は世界で最古のエステル記の一つでもあり、スペイン追放以前の時代を生き残った、15世紀からの希少な巻物の一つである」とのこと。
500年間何処に保存されていたかを調査した試みがなされたが、この巻物の出所は不明であり、スペイン追放後に巻物がどの国へ渡ったのか、またどの家族が持ち出したかなどの証拠は一切ない。
この巻物は、マイケル・イスラゾン氏とその家族によって国立図書館に寄付され、「国立図書館国際委員会」の創設者で会長であった彼の父であるルドゥビック・イスラゾン氏の伝統を守り続けており、国立図書館に数十年間寄付し続けている。図書では、この貴重で希少な巻物を保存し、中世時代のスペイン・ユダヤ人会衆の荘厳な文化遺産をイスラエルと世界の一般市民に公開することを可能にすると伝えている。