長野県の塩尻駅はブドウ栽培にとても相性が合う。同県には桔梗ヶ原、日本アルプスや天竜川などにかなりのワイン地区が存在し、メルロ品種がほとんどを占めているワインを製造しているワイナリーが約10軒ある。
塩尻市(人口約6万7千人)は観光地でもないために知名度も低いが豊富な遺跡があり、日本のドラマやアニメのセットとして利用されている。
同県へのワイン観光を推進するために、1988年に中心街の鉄道駅の一つにブドウ畑を作り、ブドウ棚にはメルロとナイアガラ品種が植えられており、鉄道員が管理しながら専門家の指導に沿って一般市民のボランティアが摘葉やブドウの収穫にあたっている。
今日までブドウからワインが製造されたことがなく訪問者に配られたり、ワイン収穫を任されていた現地大学のエノロジー(ワイン学)生徒の研究用に利用されていただけだった。
同市60周年を記念し、初めてこれらのブドウがワイン製造に使用された。ブドウは桔梗ヶ原の現地ワイナリーへ搬送され、鉄道駅で栽培されたブドウから製造された100本のワインが販売される予定だ。
イスラエルでも行われているように、鉄道が活動していない冷たい空気の夜中にブドウの収穫は行われる。その後専用の入れ物にブドウの房が丸ごと納められ、そこから近くのワイナリーまで短時間で搬送してワインが製造された。
日本では今日約200軒のワイナリーがあり、96%のワイナリーは小規模(年間1万本まで)と中規模(年間5万本まで)となっている。日本は東京オリンピックが開催された1964年からワイン産業を開始し、保守的な国であった日本は食料やワインなどの多くの分野で少しずつ西洋に近づいて行った。
今日日本では年間に約37万㎏のワイン用ブドウが栽培されており、ワイン消費量はイスラエルと相似した年間約3.1リットル/人と少ない。日本で栽培されている主要品種は、シャルドネ、メルロ、シラーとピノノアールで、現地特殊白ワイン品種の甲州がある。
塩尻駅に話を戻そう。現在ボトルの値段は決まっていないが、一つだけ確かなのは鉄道駅だからオンタイムで販売が始まるということだ。