イスラエル北部に住むイスラエル人の若者が人口移民局に対し、頭にプラスチックのザルを乗せた写真の身分証明書を発行する許可を与えるように要求している。彼によるとこれは「空飛ぶスパゲッティ・モンスター」への信仰であり、世界中で数百万人が信仰しているパロディー宗教パスタファリニズムの神である。
この青年はこの宗教の信心深い信者と自身で定義しており、彼が所属している宗教に相応しいプラスチックのザルを頭に乗せた顔写真を身分証明書に使用するよう内務省に何度も掛け合っていた。今日まで彼の要求は却下され、裁判に訴えることを決心した。
彼の依頼によりハイファ地区法的支援弁護士のジーハン氏は、ハデラの人口移民局局長であるモーシェ氏に対し、この青年に自分の信仰を表す写真で身分証明書を発行するよう要求した。
この要求書に於いて弁護士は、彼が運転免許取得に必要な関係書類にザルを頭に乗せた写真を使用した時には、運輸省は問題無く書類を受理したと明記している。「この青年は何度も内務省に対し、同じ写真を使用して身分証明書を発行するよう要求した。これは彼のアイデンティティの一部であるという完全な信仰心からであり、彼の考えと良心に従って公式文書であるイスラエルの身分証明書に個人的なアイデンティティの象徴を追加するように要求した。ただしこの要求は、明確で論理的な理由もなく拒否されている」と語った。
弁護士によれば人口登録の手順に従うと、信仰心の理由のみだけで頭を隠して写真を撮ることは可能であり、おでこの上部から顎の下部までの顔の部分を隠さなければいいということになっている。「ザルはこの青年にとって深い意味を持った外見の象徴であり、キッパやスカーフと同じである。ザルは顔を隠しておらず、内務省の写真撮影の要求に沿っている」と弁護士は付け加えた。
また世界中でも空飛ぶスパゲッティ・モンスター信者達の公式証明書が発行されているケースが多々あると述べた。「イスラエルでも同様のことが認識されており、信仰心から要求しているこの青年に対し、内務省が強制的に拒否する理由が明確ではない」とも述べた。
人口移民局スポークスマンのサビン氏は、「身分証明書とパスポートは国の公式の国家書類であり、それに適応した取り扱いを市民には期待している。これらの書類を笑いものにするような行為や要求は許可することはできない」と回答している。
パスタファリニズム教は15年前に、オレゴン大学を卒業した物理学の学位を持っているボビー・ヘンダーソンによって設立された。ヘンダーソンは、進化論を教えなくても良いことを学校に許可したケンザスの教育議会の決定に抗議し、スパゲッティとミートボールの姿を思わせる創造主への信仰提示によって、科学が証明できない存在が神の実体があることの証明であるという評議会の主張を嘲る手紙を送った。
ヘンダーソンはこの神が存在していないという科学的な証明が出来ないという理由で、「空飛ぶスパゲッティ・モンスター」教の勉強にも時間を割くよう教育議会に呼びかけ、誰でもこの神を信仰できるとした。彼のアイディアは世界中で数百万人を追従させ、世界中の多くの国々で正式な宗教として登録されることとなった。この宗教の伝統的な服装は、キッパやヒジャブに似たスパゲッティのザルを頭に乗せることである。
この宗教の目的は風刺を持って習慣を笑い、既存の宗教を困惑させることにあり、全ては宗教の自由という名の合法的なものである。教祖のホームページは数千万のエントリーが記録されている。
ここ数年間で世界各国にあるイスラエルの領事館に対し、人口登録の宗教欄を「ユダヤ」から「パスタファリニズム」に変更する要求が数件あり、頭にザルを乗せた伝統的な被り物の写真で新しいパスポートを発行する要求もある。今日まで全ての要求は却下された。
2015年12月には、「空飛ぶスパゲッティ・モンスター」信者達はニュージーランドで承認され、彼らの信仰に沿った結婚式の許可も与えられた。2011年7月には、オーストリア市民が免許証の写真にザルを乗せる許可を受けた。この裁判は3年かかり、オーストリアの法律が許可するように、免許証の写真に宗教的な頭の被り物を被る権利を実現したいと要求していた。
2013年7月にはチェコの市民も同じ権利を獲得し、ザルを乗せた写真撮影の禁止は宗教の自由を奪うものだと主張していた。アメリカや他の国々では失敗したが、チェコは免許証の写真で正式に許可した世界で二番目の国となっている。
2014年にはアメリカ・ユタ州の女性がザルを乗せた写真を免許証に使用した。2014年1月2日には頭にザルを乗せたクリストファー氏が、ニューヨーク州パンパート市市議会議員として宣誓した。2015年3月には、イスラエル人が初めてザルを頭に乗せた写真で免許証を発行している。