緑の丘と青のルピナス:タボール川

 ガリラヤ山脈下部のタボール川には、イスラエルで最も美しいトレイルが通っている。川は曲がりくねった「玄武岩のキャニオン」を流れ、川岸の岩は赤茶色や黒色で覆われており、川の下流には幾つかの泉があってヨルダン川に流れ込んでいる。

 冬にはこのキャニオンは崖を緑色に染める草木で覆われ、絵葉書のような景色を見せてくれる。春先にはキャニオンの斜面は、山岳ルピナスの開花によって青紫色で覆われる。この地域にはイスラエル鹿が最も多く生息している場所でもある。

 玄武岩キャニオンは、散策コースを2種類訪問者に提供している。一つは短い円周コース(約3.5km)で家族用に適した軽いレベル(徒歩所要時間約1~2時間)、二つ目は長い円周コース(約7km)でキャニオンに下る部分や川底を歩く部分が含まれており、健脚の人だけにお勧めだ(徒歩所要時間約4~5時間)。二本のコースとも素晴らしいルピナスの開花に出会える。

 二本のコースとも同じ地点から開始しており、自分達の歩くコースを間違えないように、コースの色に注意を払うべきである。この開始地点に到着するには、7276号線でキブツ・ガジットに到着する。キブツの門をくぐり、そのまま約500m先にあるタボール川自然地域への標識まで直進する。キブツの北門から出て開始地点の駐車場まで砂利道を進んでいく。

 注意事項として、ルピナスの開花季節(2~3月)の週末は、物凄い旅行者の数で一杯になることが多い。その為特に今日では、週中に訪問することをお勧めする(追記:3月6日のニュースでは、今日だけで15万人のイスラエル人が自然保護地区を旅行し、タボール川も含めて数か所満杯で封鎖された)。またルピナスは保護された花でもあることをお忘れなく。

 駐車場から北に向かって歩くと、赤色で印付けられたトレイルがある。道が二手に分かれているところはそのまま直進して黒色のトレイルに入り、約100m先で右に曲がると青色に印付けられたトレイルに入り自然保護地区に到着する。

 左側には素晴らしいガリラヤ山脈下部とタボール山の美しい景色が見え、その先ではテル・レヘシュが展望でき、ここでは青銅器時代初期(紀元前3千年頃)以前からビザンチン時代まで要塞化されていた集落の遺跡が発見されている。研究者達は、このテルをヨシュア記とファラオ文書に言及されている、カナン人の都市アナハラテ(ヨシュア記19:19)だと想定している。

 青色トレイルを約1km歩くと、オーレン・リフシッツ展望台に到着し、「この景色の為にここにいる」という文字が彫られた巨大な岩が目印となっている。展望台からはタボール川が流れる玄武岩キャニオンの素晴らしい景色が見え、この場所に到着する価値がある。

 故オーレン・リフシッツ氏は、キブツ・ガジットのメンバーであり、パラシュート部隊に所属していて、第二次レバノン戦争中にビナット・ジャビール地域の戦闘中に、負傷した同じ部隊の戦友を助けようとして戦死した。二人とも病院に搬送中に死亡してしまった。

 オーレン・リフシッツ展望台は、長いコースと短いコースの分かれ目でもある。短いコースの人は展望台から右に曲がり、崖の淵を通っている緑色のトレイルを歩いていく。しかしその前に、青色トレイルに沿って少しだけ下がっていくと、数メートル先に崖の斜面を飾る美しいルピナスの畑がある。そこを見て写メを撮ったら元に戻って緑色のトレイルを進めばいい。

 このトレイルからも玄武岩キャニオンの素晴らしい眺めが幾つもあり、そこから良く見える川の流れで素晴らしい「王の舌」と呼ばれる曲がりくねった場所が最高だ。約700m行くと赤色が付いたジープ用の広い道路に出て、そこからキャニオンの底に降りていく。そこでは右に曲がってジープ用道路の坂道を登っていくと、放牧地の中を通って行き、最終的に駐車場まで戻れるようになっている。

 注意するべきは、途中で左に曲がる「ネベー・エルアド」方向の道があり、ピクニック用の机、シャドーシートと遊具施設があるもう一つの展望台に到着し、車に戻って旅行を終了する前に、景色を見ながらの休憩やピクニックに最適だ。

 この展望台は故エルアド・リトゥワック氏の名前が付いており、彼もキブツ・ガジットのメンバーで、2001年4月に彼が隊長であった戦車がレバノンで対戦車砲に攻撃されてドブ山で戦死した。展望台からはタボール川の下流が見え、右側の丘には十字軍時代の要塞であるコハブ・ハヤルデンが見える。

 長いコースの最初の部分は短いコースと同様で、前述の通りにオーレン・リフシッツ展望台まで到着する必要がある。展望台から青色トレイルを歩いていくと、とても急な下り道(滑らないように注意)がキャニオンの川底まで続いている。もし坂道に適した靴や、登山用の口でないならば引き返すこと。その場合には短いコースで満足するしかない。

 そこから川の横を青色トレイルで進み、道を間違えないように色に気を付けて進むこと。このコースは最低でも川を4回分かる必要があり、強い水流であることから濡れるのは仕方なく、濡れても良いズボン、水の中を歩くのに適した靴、取り換え用の靴下などを準備すること。個人的な推薦では、ひも付きサンダルを用意するのが最適で、川に到着したら履き替えるのが一番いい。

 川には美しい小さい段差があり、「赤いプール」と呼ばれる深い水溜まりもあり、周りの岩の色でそう呼ばれている。そこで足を水につけても良いが、泳ぐのは推薦できない。このプールの近くから、高さ2mの梯子を下りていく必要がある。

 開花季節に長いコースを歩くと、殆どのコースに沿って美しいルピナスが見られる。冬には沢山のシクラメンやアネモネが咲いており、春先には多くの花以外にもケシやカラシナで覆われ、川に沿って数か所に散らばっているアーモンドの花も見逃せない。

 そのまま進むとトレイルの交差点に到着し、そこを右に曲がって赤色が付いているジープ用道路に入り、急な坂道を登っていくと駐車場まで戻れる。川でサンダルを履いていたならば、この坂道を上る前に靴と履き替えること。

注意事項:

●川は玄武岩キャニオンの中を流れており、殆どのコースには影が無く、特に暑い日にはキャニオンの底はとても気温が高く、時には過激だ。長いコースは夏にはお勧めしない。冬でも1人最低3リットルの飲み水を用意すること。

●雨の日、又は洪水の渓谷が出ている日には歩かないこと。冬ではこの川は氾濫し、洪水中の川での旅行は命取りとなる。

●自然保護地区の自然、動物、植物や全ての物を守ることは重要で、他の人が楽しめるようにすること。動物に餌を与えず、花を採らず、コースからも離れないこと。

●この自然保護地区はイスラエル鹿の生息地である為、自然保護地区に犬を入れることは禁止されている。犬がいることによって鹿を遠ざけ、鹿の存在に危険性を起こす恐れがある。これも厳守すること。

●コース上にはゴミ箱がない。最初からゴミ袋を用意し、必ずゴミは持ち帰ること。ゴミは自然に残さないこと。

●自然保護地区で火を起こさないこと。

●夕刻前に旅行が終わるように事前計画すること。キャンプ場以外での場所に夜間滞在することは禁止されており、危険でもあり、野生動物への妨害にもなる。

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