科学から見た10の災い

 何故血を見て気を失うのか?シラミはどうやって人間にわいたのか?雹はどうやって上下しているのか?どの動物に長子の災いがあるのか?過越し祭に相応しく、10の災いを科学的に実証されている内容で説明してみた。

◎血

 怪我をして血が流れる時に、一部の人は強烈な恐怖を感じ、身体的な疲労感も伴い、過激なケースでは気を失ってしまうこともあり、出血で死ぬこともない軽い傷や血液検査で見る数滴でも同様なことが起きる。血液恐怖症は人口の約3~4%が苦しむ症状である。

 他の恐怖症と違い、血液恐怖症は二段階で起きる。まず他の恐怖症と同様に恐怖心の反応。その後二つ目の反応として、目まいの特性である心拍数と血圧の急激な低下、更に失神する傾向もある。これは安静状態として典型的な迷走神経の活性化が理由となっている。

 何がこの現象の原因かは明確ではないが、幾つかの仮説がある。一つの仮説は人類進化の本能であり、危険状況に典型的な「戦うか逃げるか」の生存反応の一つである。死んだふりのようなその場で硬直することが特徴である。もし出血しているならば、その原因となる何かがあり、まだその何かに危険に晒されているならば、このような反応は理にかなっている。もう一つの仮説は止血することに関連していると考えている。出血しているならば、傷からの出血を少なくさせる為に血圧を低下させ、血栓機能が止血するまで時間稼ぎをする。

◎カエル

 1935年にオーストラリアの研究者達は重大な間違いを行った。意図は良かった。大陸北部のサトウキビ畑が現地の昆虫の大被害に遭い、この問題に完全な解決案があると考えていた。同様の問題に苦しんでいたプエルトリコで、昆虫を食べるアメリカのオオヒキガエル(Rhinella Marina)を解放し、それが通用したようだ。その為にオーストラリアのクインズランドにもオオヒキガエルを連れてきて、1936年までに数十万匹のカエルが解放された。それから85年が経過し、オーストラリアには数百万匹の同種のカエルがいる。昆虫対策には殆ど役に立たず、現地の動植物に多大な影響を起こしている。

 オーストラリアのオオヒキガエルには捕食者が少ないが餌は豊富にあった。早急に増加したが、昆虫対策には役に立たなかった。昆虫はサトウキビの先端にいるが、オオヒキガエルは余り上るのが得意ではない。その代わりに他の昆虫や、ペットの餌などを食べるようになった。主にトカゲや蛇などの在来の動物がオオヒキガエルを食べようとしたが、オオヒキガエルには猛毒があり、捕食者の数の急激な減少まで引き起こした。ペットの犬も被害を被っている。オーストラリアの獣医達は、オオヒキガエルを噛もうとした犬が毒にやられたケースが多発していると報告している。最近ではオオヒキガエルの捕食者の一つであるオオミズネズミが、オオヒキガエルの毒に晒されずに殺して食べる方法を学んだことが判明した。もしかするとカエルの災いへの解決になるかも知れない。

◎シラミ

 人間シラミとは、名前の通り人間に独特のシラミである。第三の災いとして、人間も家畜もシラミの被害を被り、となると今日シラミと呼ばれている虫ではなく、多分ノミであると思われる。

 ノミと同様に、シラミも外部からの吸血寄生虫であるが、ノミやその他の多くの虫とは違い、飛んだり跳ねたりが出来ない。とてもくっ付き易くて接触で広がる。アタマジラミ(Pediculusu Humanus Capitis)の場合では頭と頭の接触によって起こり、ケジラミの場合ではその他の身体の部位の接触で起きる。シーツ、タオルや帽子などでもアタマジラミやケジラミに感染する場合があるが、とても稀なことである。

 それとは対照的にコロモジラミ(Pediculusu Humanus Humanus)は主に衣服に住み、シーツなどでも感染し、チフスなどの病気も感染させる恐れがある。密集地、貧困居住地や非衛生居住地で良く発生している。コロモジラミはペスト菌にも感染する恐れがあり、黒死病を引き起こすウイルスで、ウサギ同士では病気も感染することがあると研究で明らかになっている。しかしシラミの最大の危険は痒みであり、軽いアレルギー反応の結果でもある。

 何処からシラミはやってきたのだろう?頭と体のシラミは、チンパンジーのシラミの親戚である。進化研究によるとチンパンジーから感染したのではなく、シラミにも同じ祖先がいたにも関わらず、約6百万年前に我々の祖先が枝分かれした時に、シラミの祖先も枝分かれしたようだ。コロモジラミはアタマジラミから、人間が衣服を使用するようになった約10万7千年前に枝分かれした。それらに反し、ケジラミはゴリラから引き継いだもので約3百年前と言われている。どうしてそれが起きたのかは誰も問わない。

◎あぶ

 10の災いの中で最もミステリーな災いだ。「アルーブ」という聖書の言葉は何であるのか明確ではない。最も一般的な解釈では、様々な猛獣という意味であるが、ハエやその他の飛ぶ虫の大群と解釈する者もいる。もし猛獣であるならば、家の入口で見たくない動物とはいったい何であろうか?

 地球上で最大の猛獣はハクジラだが海に生息しており、家まで来るにはちょっと難しい。陸地の最大の猛獣はホッキョクグマであり、オスの体重は約600㎏までに達する。その親戚であるグリズリーは、ホッキョクグマと比較すると少々小さいが、それでも最大の猛獣の一つである。その次はベンガル・タイガーで、体重が300㎏まで達する。

 過去には陸地にもっと大きい猛獣がいた。ティラノサウルス・レックスは、5.5から8トンの体重で、その親戚に当たるスピノサウルス・エジプティアクス(Spinosaurus Aegyptiacus)は、ティラノサウルスより大きかった。その後の時代では南アメリカに熊の種類で体重が1トン以上であったアルクトテリウム(Arctotherium)が生息し、絶滅した家系に属するアフリカのシンバコフワ(Simbakubwa)は、それ以上の体重があった。

 でもサイズが全てではない。研究者達は陸地の全猛獣の中から、最も噛むのが強いのはこれらの猛獣ではなかったことを発見した。もし陸地に住んでいると理解するなら、イリエワニ(Crocodylus Porosus)の噛む力が一番だ。その次は、骨まで噛み砕くことが出来る顎を持ったジャガーとブチハイエナだ。

◎疫病

 聖書の疫病は動物と家畜を襲ったと記しており、今日知られている致命的な病気ではないと言われている。ペスト病はYersinia Pestisという名のウイルスが原因で、13世紀のヨーロッパの人口の4分の1から3分の1を抹殺した黒死病であり、研究ではビザンチン時代の人口の約半分を抹殺したとも言われている。ウイルスの主な媒体は、げっ歯類の血を吸うノミである。このように病気がアジアから来た隊商と共にヨーロッパまで移動し、多くの死者を残していった。

 チフスは呼吸器官からも簡単に感染し、重度な肺炎を引き起こす。今日抗生物質によって病気を治療することが出来、そんなに危険な病気ではなくなった。時々主に発展途上国でこの病気の感染拡大が報告されるが、過去のようなパンデミックになることはあり得ないと考えられている。

 生物兵器として最初に使用されたのも黒死病で、1346年にクリミア半島のカッパ市(現在はウクライナ)を包囲していたモンゴル人兵士達は、黒死病で死亡した兵士の遺体を町中に投げ込んだ。

◎腫物

 聖書に記されている腫物は、特定された病気ではなく、皮膚上の傷や病変で現れる多種多様な病気の総称である。その一つがアレルギー反応によって起きる皮膚の発疹で、例えばそれ以前に起きた災いから発生したシラミやノミである。アレルギー反応がある敏感な人達の免疫機能は、花粉、イエダニの分泌物、卵、ピーナッツなど、それ自体に危険性はない外来因子であるアレルゲンに対して反応を起こす傾向がある。大気中にアレルゲンが大量にある為に、特に春の過越し祭の期間にアレルギー反応が多く起きる。

 アレルギー反応には、免疫系の「肥満細胞」が関係している。アレルゲンに対して体が製造する免疫の種類の一つが肥満細胞で、アレルギー反応を起こす成分放出がなされる。

 その分泌成分の一つがヒスタミンで、血管の透過性を高め、細胞へ体液を放出させる為に、例えば刺された場所が腫れたりする。ヒスタミンは、皮膚神経細胞の受容体にも結合し、これが痒みを引き起こす。これらの成分が分泌されることより、気道も縮小して粘液が溜まり、それが咳やくしゃみを起こしたり、腸を活発化させたりしている。

 これらが全てがアレルギー反応となっており、皮膚の痒みから鼻の痒み、又は血圧の低下、特に早い心拍数と過呼吸になどの過激なアレルギー反応のアナフィラキシーショックによる死まで範囲がある。

◎雹

 雹は最初は水滴、又は小さい雪から始まるが、下に落ちて地面に到達する代わりに、垂直の強い空気の流れが、それらを暴風雲の上の寒い高い部分まで押し返し、そこで凍り付いてしまう。そこで結晶化した氷が落下するが、又強い空気の流れがそれを上に押し戻し、水蒸気がその周りに凍り付いて落下し、それがまた空気の流れによって押し返され、段々と大きくなるのが繰り返される。このプロセスが何度も繰り返されて、雹の氷がどんどんと増していき、最終的に再浮上するには重すぎると地面に落下する。

 通常雹の大きさはグリーンピースくらいだが、気候条件や十分に強い上空風があると、物凄い大きさにまで達することができ、2020年10月にリビアのトリポリで起きたような、直径20㎝くらいの氷の塊で、重量も約1kg(とても稀だが)までになる。落下と上昇の繰り返しで出来る氷の層は、地面に落下した雹でも観測することができ、木の年輪や地層と似ている。

◎イナゴ

 イナゴは今でも起きる災いで、今日でも世界各地で被害を及ぼしている。最近起きたのは約1年前で、東アフリカとアラビア半島の半分の上空を数億匹の虫が覆い、農作物の広大な地域を壊滅させた。このような破壊的大量発生はどのように起きるのか?数百万匹以上のグループでない時には、イナゴはただのバッタであり、我々が見ている草の間を跳ねている虫と相似している。しかしある条件下で巨大な大群となる様々なバッタの種類がある。それは特に雨が多い年の後に起こりやすい。雨はバッタに大量の卵を産むことを誘引し、次の世代の数が増加することとなる。次に気候が乾燥した時に、多くのバッタが残った植物の周りに集まり、密集が彼等を変化させることになる。バッタがお互いに擦れ合うことで神経系統に、我々の脳の中にも神経伝達物質として存在するセロトニンが放出される。この成分はバッタの行動や身体に多大な変化を引き起こす。サイズがより大きくなり、より強い肉体を持ち、色さえ変化する。この変化が起きる前は、バッタは1匹で行動する昆虫で、通常他の仲間と行動することは控えているが、この変化後にはお互いに惹かれ合い、一緒に場所から場所へ飛行移動する。こうやって巨大な群が作られ、イナゴの大群として知られている。

◎暗黒

 日食は、太陽と月と地球が同じ一直線上に位置し、月が太陽を完全に隠すことで起きる。日中に太陽が隠れてしまい、地上には暗黒が漂う日食は、数分であろうが地球上の各地で18か月に1回は起きている。世界各地で完全な日食が起きるのは、約370年に1回とされている。

 人間だけが日食に惹かれる訳ではなく、その他の動物も短時間に太陽が隠れることで行動を変えるようだ。例えばメキシコの研究者達は、1991年の日食中にクモが自分達の巣を解体し始めたと報告している。日中に活動するガラパゴス諸島の魚は、1998年の日食時に食べるのを止めてサンゴ礁の中に隠れた。ベネズエラでは、98年の日食の時に鳥が住処に飛んでいき、日食後には何もなかったように湾岸に戻って来た。

 日食は科学にも役に立っている。1919年5月26日の日食の観測では、アルベルト・アインシュタインの相対性理論に於ける重要な仮定の一つを証明し、歴史での大きな科学的革命の一つを生み出した。アインシュタインは、巨大な物体の重力は光線にも影響を与え、光線を湾曲させると予測し、日食時にそれを検査するように提案した。それにより特定の星が、夜の「通常の」位置と比較して、太陽の端でより近く見えることが可能となると予測した。イギリスの科学者たちが日食を撮影し、障害や問題があったがアインシュタインが予測したように、星の位置の偏差を測定することに成功した。

◎長子の死

 長男・長女は、下の兄弟姉妹に対してどのように扱うか、人間ではなく野生動物の間では?殆どの場合では、若い世代の前に長男達は自立した人生を送っている。しかしいつもこうではない。時々年上の兄弟も両親と一緒に過ごし、下の兄弟達の面倒を見たり、たまには悪さしたりする。

 鳥類でも巣の中で助ける現象があることは余り知られておらず、自分の巣を作る代わりに、自分達より1年後に生まれたヒナの世話を、親と一緒に助ける年上のヒナがいる。イスラエルで見られるツバメが、この行動をする種類の一つである。巣を助ける「ボランティア」の鳥に関しては幾つかの可能性の説明がある。自分のヒナを将来育てる為の能力を身に着け、遺伝子的に近い兄弟達の存命を確実にすることを助ける。殆どの場合、巣作りする場所が不足している時には、自分の巣を作れるチャンスが少ない為に、両親の所に残る傾向が鳥にはある。その現象は哺乳類の一部でも見られ、例えばアフリカ・ミーアキャットは、大家族で生活しながら一緒に子供を育てている。

 サルの間では、若い雌が赤ちゃんの世話を手伝い、他の哺乳類と比べて成長が遅いため、下の兄弟が生まれても上の兄弟はまだ子供であり、母親の注意を引こうとする。上の兄弟が母親の世話を要求し、時には争いや怒りの行動を引き起こすこともあり、時には授乳を要求することもある。

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