神の顔?イスラエルで発見された3,000年前の偶像

 エルサレム・ヘブライ大学考古学研究所所長ヨッシー教授が行った5体の偶像の比較により、神の姿を映し出そうとしたのか、また偶像が宗教行事に使用されたのかどうかを確認しようとした。

 この研究には紀元前10世紀のカイェファ遺跡、エルサレム近郊にある紀元前9世紀のテル・モッツァと、イスラエル博物館のモーシェ・ダヤン・コレクションにある遺跡泥棒から没収した南ユダ酷時代初期の男性偶像が調査された。

 5体とも考古学では全く知られていない神の姿を現しており、これらの偶像の関係性も知られていないという結論に教授は至った。エラの谷の近くにあるカイェファ遺跡の発掘で男性の頭を持った偶像が発見され、テル・モッツァでもユダヤ人神殿の庭から似たような2体の頭が発見され、イスラエル博物館のモーシェ・ダヤン・コレクションでは2体の馬の偶像が発見され、馬には人の頭が付いた特殊な陶器でその頭の部分は他の場所で発見されたものと相似している。

 カイェファ遺跡で発見された2個の頭は5センチの大きさで、飛び出した両目、尖った耳、大きな鼻と突きでた口がある。教授によると耳の部分に穴が開いているのはイヤリングが付いていたかも知れないとのこと。また頭の周りには穴が開いており、王冠を被っていることを表しているのかもしれない。南ユダ王国時代の神殿で発見された、馬に乗った男性の偶像は神を表していることは疑いの余地がなく、イスラエルの神の姿と関連性があるものだという結論に教授を至らせた。

 テル・モッツァで発見された偶像の頭には、頭の飾り、明確な顔、飛び出した両目、耳、鼻と口が付いている。一つの偶像には髭を思わせる穴の列がある。乗っている馬と頭の部分がほぼ完全に残っているこの4体を、最初研究者達は相違する偶像であると考えていた。しかしイスラエル博物館の騎手の偶像と比べてみたところ、テル・モッツァで発見された頭と相似しており、同じように馬に乗っているということは、テル・モッツァの神殿で発見された4体は2種類の騎手の偶像であるという仮説が立てられた。

 教授によると古代初期には、「わが魂はかわいているように神を慕い、いける神を慕う。いつ、わたしは行って神のみ顔を見ることができるだろうか」(詩編42:2)と聖書にも記されているように、参拝者が神の顔を見るために集まった宗教儀式には神の偶像が使用されていたとのこと。「参拝者は神を拝顔し、同時に神も参拝者を見る。これは物体と精神、死んでいく人間と永遠の神を結びつけるもので、信者と神との間で織りなす特別で魔法的な瞬間であり、当時の宗教的体験の本質を構成するものである」と教授は語った。「聖書の伝統では神が空と雲に乗っている描写が沢山ありますが、馬に乗っている姿が描写されているテキストもあり、テル・モッツァ神殿で発掘された馬に乗った騎手はイスラエルの神を表している」。

 時代が後になってから偶像と絵画禁止の神学的概念が強くなり、「神を拝顔する」という表現は参拝者の比喩となっていった。禁止事項は厳格化され、神の律法も強化され、聖書の伝統では一般に知られているように、古代の世界やカナン文化で広まっていた偶像に対して断固として反対しているが、イスラエルの民は時々偶像崇拝もしており、神の律法を守らずにバアル神やアシュラ神を崇拝しているイスラエルの民が聖書にも描写されている。

 研究者達によると、頭の偶像や騎手を使用した習慣から聖域での偶像完全禁止となる宗教概念になるまで、数百年間の長いプロセスを通ったものであることが今回の調査で判明したとのこと。実際に発見された頭の偶像も、紀元前10世紀から紀元前9世紀の南ユダ王国初期のものとされているが、同じ王国でも紀元前8世紀から紀元前7世紀では全く偶像は見つかっていない。

 今回の発見はとても特殊であり、聖書考古学ではイスラエルの民の神を表した男性の偶像が今まで判明していなかった。実際に100年以上にもわたってきたイスラエル王国と南ユダ王国の研究で数千の女性の偶像は発見されているが、男性の偶像は1体だけであった。女性の偶像は殆どが裸で胸を突き出している。これらは豊作の偶像で、家での宗教儀式に使用されたものであると考えられている。「男性の偶像は全く発見されていなかった。論文でも発表した様に、つい最近状況は一変した」と教授は語った。

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