植物の脅威:ベイト・シャアリームの埋葬洞窟に危機

 緑でパストラルな広い林の中でガリラヤの土地の数メートル地下に、ユダヤ人のネクロポリスであるベイト・シャアリームの埋葬洞窟が隠れている。この古代遺跡は、第二神殿時代破壊後に生きていた、多くのユダヤ人富裕者達の最後の眠り場所であり、その中で有名なのがミシュナーの編纂者、サンヘドリン(ユダヤ教最高議会)議長、当時やその後の時代にも尊敬されたラビである、ラビ・ユダ・ナシーの墓もある。過越し祭の休暇中にこの特殊な場所を訪問し、完全な形で残った様々な壁画や、ギリシャ語、アラム語とヘブライ語の碑文で飾られている、冷たい空間の埋葬洞窟を旅行するには良い時期だ。

 しかし過去数年間でここに埋葬されている人達の安眠を妨げ、この場所の特殊な雰囲気に新しい脅威が迫っている。外国人の支配者や開発建設の事業でもなく木々の根であり、洞窟の天井から侵入して崩壊させる恐れがある。新しいイスラエルの研究で世界では初めての研究であるが、洞窟内に侵入してきた木々の種類を認識し、洞窟がある自然を破壊することなく、重要な歴史的遺跡を救う努力が行われた。

 カルメル山の麓にあるベイト・シャアリーム遺跡は、キリヤット・ティブオンの近くにあり、UNESCOの世界遺産としても認定されている。この埋葬洞窟は、ヘロデ大王の時代に建設されたと思われるベイト・シャアリームの町の一部であり、ハスモン王朝の一部でもあった。

 洞窟以外に遺跡には古代都市の一部の建物も含まれており、シナゴーグ、バジリカ(公共施設)やオリーブオイル工場もある。現地の自然はベイト・シャアリームの魅力あるポイントの一つであり、自然の植物、様々な木々や素晴らしい開花が含まれている。シクラメンとアネモネが冬の景色を飾り、春にはツルボランが背高く伸び、セイヨウハナズオウが濃いピンク色で現地を染める。

 この時期にこの遺跡を訪問すれば、地下にある洞窟の天井に木々の根が侵入しているのが容易に見られる。「木々の根はベイト・シャアリームの全ての洞窟に侵入し、この遺跡全体の基本問題となっている」と、自然公園局北部考古学者で、今回の新しい研究のリーダーであるドロール学者は語った。

 理論上では歴史的な洞窟を守る為に、現地の木々を伐採するのが最も容易な決定であったが、理想的な解決からは程遠い。「ベイト・シャアリームの在来種の植物による美しい森林は、遺跡の景色や訪問者の体験の一部となっている」と、バイツマン研究所植物環境科学課のタミール学者は語った。

 最近Plants People Planet誌に掲載されたこの研究は、自然に対して可能な限り最低限の関与をしながら、この問題に対して歴史と世界遺産を守ることを可能とさせる解決を見つけることであった。「この種類の研究がなされたのは世界で初めてだ」とドロール学者は語った。「被害を引き起こす根の認識と除去について、木々の根と古代遺跡間とのダイアログに触れた研究文書を見つけられなかった」。

 「最大の問題は、どの種類の木々が深く根を張るのかというのを見分けることであった」とタミール学者は語った。彼によると根による木の認識は、とても困難で複雑なミッションであったとのこと。「時には我々は、どの木に属している根なのかを見分ける為に、臭いを嗅いだり味見したりしてみた。多くの場合に例えば、ある人がこれはイナゴマメの根だと誓って言っていたが、最終的には樫の木の根であった」。

 侵略的な根の認識は、2段階で実施された。ドロール学者による解剖学的構造検査と、タミール学者の研究室でのDNAの遺伝的フローリングであった。この研究の遺伝的な見解で最大の問題であったのは、現地の植物は世界の植物のDNAデータベースに含まれておらず、その為に研究者が採取されたサンプルを比較出来るものが何もなかった。これは指紋認識と似たようなものである。様々な指紋の認識を含んだデータベースと比較できないならば、指紋自身をどれだけ採取しても意味がない。「既存のデータベースにこれらの種類の木々を追加する必要があった」とタミール学者は語った。「その為にテルアビブの植物園まで行き、様々な木々を認識できる最適な場所であった。その後植物園で採取したDNAをデータベースに追加し、自分達で採取したサンプルのDNAと比較することが出来るようになり、サンプルの根がどの木々に属しているかが分かるようになった」。

 構造と遺伝子検査により、研究者達は洞窟で採取された13個の根のサンプルのうちに4個を認識することに成功し、それらはピスタシア・アトランティカ、3本がピスタシア・パレスティナ、2本が杉、1本がエルサレム松、1本がカッパーブッシュ、1本はブリオニア(Bryonia cretica)と、もう1本がセイヨウハナズオウであった。

 今回の研究により、洞窟内に侵入した根の木々は印付けられ、一部は木の役割の観点からは伐採と似た結果になるプロセスの乾燥化が行われ、伐採による負荷(被害を受けている洞窟の上に重たい木が倒れるなど)を避けている。現在自然公園局は、乾燥化の結果を忍耐強く注意深く見守っている。「枯れた根は洞窟の中に空洞を作り、そこを特別な材質で埋めてヒビが広がらないようにする」とドロール学者は語った。もし順調に進めば自然公園局では、洞窟内に侵入した他の根の木々への対応を拡大し、その後現場から切株も取り除く予定である。並行して遺跡が有名な場所であることを考慮し、自然公園局では現地で実施されているプロセスや重要性に関し、一般市民に情報を公開している。

 「根の認識は、世界遺産を保存する目的と、自然を守る目的を組み合わせた解決の実行を可能とさせる」とタミール学者は語った。「毎日チームが従事している研究は、根を通じて森林の生態学研究に専念している。その為にこの件に関して、とても変わった特別な方法で解決できたのは素晴らしいことだ」とも語った。

 「このテーマに関する文書は存在しておらず、この研究は現地で我々が実験しているようなものであり、この研究分野では全く新しい活動のシリーズを含んだものである」とドロール学者は語った。「このようなケースが起きた場合に、どのように行動すれば良いのか、世界の他の人々は我々から学ぶことが出来る」。

最新記事

すべて表示

エルサレムの発掘で、2,700年前の豚の骨が発見

2,700年前の豚の完全な骨が、ダビデの町国立公園で実施されている考古学発掘の一環として発見された。遺跡には、建物の破壊と崩壊の痕跡が残っており、子豚も含めて中身事下敷きになったと思われる。テルアビブ大学リダー学者、及び考古学局オルタル氏の研究結果は、Near Eastern Archaeology誌に掲載された。 リダー学者は、若い豚の骨と判定し、最低でも生後7か月としている。彼女の説明によると

イェロバアルという名を刻んだ、士師記時代の希少な碑文が発見

士師記に関連した同時代の碑文が、キリヤットガット付近のエルラアイ遺跡の考古学発掘で発見された。この希少な碑文は、アルファベイト文字で「イェロバアル」という名を刻んでおり、紀元前1,100年頃とみられている。陶器にインキで記されており、石で床が作られた、地中に掘られた貯蔵サイロの中で発見された。 現場での発掘は2015年から毎年行われており、現在7回目の発掘が実施されている。この発掘は、エルサレムの

神殿参拝前に有力者達を接待した建物が発見される

今朝、第二神殿時代のエルサレムで発見された、最も豪華な公共施設の一つが公開された。西の壁遺産基金と考古学局の発見は、嘆きの壁トンネルでここ数年間実施された考古学発掘の結果である。 考古学局は、ウイルソン・アーチと神殿の丘の西側で発見された建物の一部は、既に19世紀にチャールス・ウォーレンによって発見・記述されており、20世紀の様々な発掘者によっても記述されている。今回の発掘によって全体が発掘され、