律法に沿った過越し祭:完全ガイド

 「シュルハン・アルーフ」では65章が過越し祭に捧げられ、一般的な「良い日」の教えは50個以上で、過越し祭も「良い日」である。祭日の律法と習慣を、基本から発展型まで整理し、最初は「ダウリアタ」で、聖書からの律法。その次に「ダルバナン」で、賢者達の教え。最後に習慣、様々な時代、様々な会衆、異なる義務レベルだ。

◎聖書からの律法

過越し祭犠牲

 「これは主の過越の犠牲である。エジプトびとを撃たれたとき、エジプトにいたイスラエルの人々の家を過ぎ越して、われわれの家を救われたのである」(出エジプト記12:27)、お祭りの犠牲を捧げて食する律法。現在第三神殿が未建設である為に、この律法の詳細に関しては、話を広げる必要はない。

パン種の根絶

 「七日の間、家にパン種を置いてはならない」(出エジプト記12:19)、「あなたの地区のどこでも、あなたの所にパン種を置いてはならない」(出エジプト記13:7)、家と所有している全ての場所から自分達の持っている全てのパン種を取り除く必要がある。過越し祭中にパン種を食べることは厳しく禁止されており、私達の所有場所内や所有物として持つことさせも禁止されている。

種無しパンを食べる

 「その月の十四日の夕方に、あなたがたは種入れぬパンを食べ」(出エジプト記12:18)、ニッサンの月第14日目の過越し祭前夜祭で種無しパンを食べることは義務である。

出エジプトの物語

 「もし、あなたがたの子供たちが『この儀式はどんな意味ですか』と問うならば」(出エジプト記12:26)、過越し祭第一日目の夜中に種無しパンを食べながら、出エジプトの話を教えるのは聖書の律法である(そして神殿があった時代の過越し祭の犠牲)。

祭りの歓喜

 「その祭りの時には、あなたはむすこ、娘、しもべ、はしためおよび町の内におるレビびと、寄留の他国人、孤児、寡婦と共に喜び楽しまなければならない」(申命記16:14)、祭りの歓喜の律法は、肉を食べ、ワインを飲み、服を買い、家族に心温まるプレゼントを与えることである。助けが必要な者達にも喜んで貰えるように心配する義務もある。

労働の禁止

 「なんの仕事もしてはならない」(出エジプト記12:16)、第一日目と第七日目は労働(教えで定義されたもの)をすることは禁止されており、「生きるための食事」に必要なこと以外となっている。中日に律法は部分的な安息を命じており、これらの日を通常の平日と区別している。

オメルの数え

 「また安息日の翌日、すなわち、揺祭の束をささげた日から満七週を数えなければならない」(レビ記23:15)、第一日目の祭日明けから49日間、毎年オメルを数え始める。50日目がシャブオット祭(初穂の祭り)だ。


 聖書の律法は、過越し祭という建物の骨組みだ。しかし誰が骨組みに住めようか?賢者達はそれに壁、床、階段、祭りを完全で利用できる有効な家とするために必要な全てのものを付け足した。聖書の律法を建物の骨組みと想像するラ那波、賢者達の教えはそれを住居とするために覆うものであり、次の段階で住民が家具、カーテン、絵画などを追加して、そこに住む為に暖かく心地よい家と変えるからだ。それらはイスラエル会衆が世代を通じて加えた習慣である。一般的な習慣から、会衆独自の習慣まである。

◎祭り前

「カムハ・ダパスハ」

 「その祭りの時には、あなたは…町の内におる…孤児、寡婦と共に喜び楽しまなければならない」(申命記16:14)、過越し祭では他人を助けることも義務付けられている。お祭りにお客さんを招待し、直接的でも慈善団体を通じてでも支援し、祭りに必要なお金がない人に金銭的・精神的援助をし、又はその代わりに家族や友人がいない者と一緒に食卓で座ってお祝いする。

 聖書の律法である喜捨の律法は、いつでもなんどきでも義務付けている。お祭り前や特に過越し祭では、もう一つの意味合いも持っており、慈善で生活している貧困者でさえも、過越し祭に必要なものを全て受け取ることを心配する必要がある。その為にお祭りの為のお金や必需品の回収と配布に努力することが習慣となっている。過越し祭前の寄付金集めの事を「カムハ・ダパスハ」と呼んでおり、過越し祭の小麦粉(チャリティー)という意味である。

食器の準備

 パン種の食器を過越し祭の料理や食事に使うことは出来ず、食器の中にパン種が残っていて過越し祭の食事と混ざる恐れがある。殆どの食器は過越し祭用に準備できる。食器準備の基本原則は、「飲み込んだように吐き出す」、つまりパン種食器を使用した通りに、過越し祭用にそれを準備することである。

●食料や飲料水のみに使用した食器は、水に浸してから冷水か常温水で洗って準備することが出来る。

●料理に使用した食器は「ハグアラー」で準備、つまり熱湯に通して準備する。

●ベーキングに使用された食器は、高温の乾式加熱を必要とする。

 準備方法は、食器の材質や、準備条件に耐久出来るかによって変わる。台所用品も過越し祭用に良く洗浄して準備する必要がある。ガスコンロ、オーブン、電子レンジ、調理場など。今日多くの人は過越し祭用とは別の食器セットを使用したり、使い捨ての食器を使用している。

パン種の検査

 賢者達は、過越し祭前にあった全てのパン種を調べて家から破棄するように義務付けた。事前にパン種を検査して家から根絶させることが良いのだが、原則的な律法は過越し祭の前夜「14日目」、前夜祭の前夜の星が出た直後にパン種を調べることである(今年はパン種を「13日目」に検査することになっており、前夜祭が安息日明けと重なったのが起因している)。

 検査順序は、「パン種の根絶」を祝福し、家の全部屋に入ってパン種がありそうな場所全て、倉庫、洋服ダンス、引き出しや主に子供の服のポケットまで調べる。ロウソクか懐中電灯で調べる必要があり、部屋の照明だけで満足してはならない。車の中を調べるのも忘れないこと。

パン種の検査と根絶の習慣

 パン種の検査前に、家じゅうに10個のパン種の欠片(飛び散らないような大きいもの)を隠し、パン種の検査中にそれらを集めるのが習慣である。集めたパン種は、翌日パン種根絶の時に焼却し、我々の心の中から邪悪な本能と、悪い素質を根絶するための祈りを唱える。

パン種の根絶

 聖書によると、パン種の根絶とパン種を食べることを禁止する開始時間は、過越し祭前夜の昼12時となっている。賢者達は「安全率」を追加し、パン種を食べることを禁止する開始時間と、パン種の根絶終了時間を数時間早め、毎年の正確な時間は居住地に応じて確認する必要がある。

 今年はパン種は金曜日に焼却し、安息日の食事で残ったパン種は、犬か猫に与えるか、多くの人の前で粉々にしてばらまいて根絶する。トイレに投棄したり、洗剤などで食べられないようにしてしまうことも出来る。根絶中に「コール・ハミラ・ベハミア」(所有していることを忘れてしまっているパン種を棄権して放棄する言葉)を唱える。

パン種の売却

 ユダヤ人のものではないパン種は、「あなたの地区のどこでも、あなたの所にパン種を置いてはならない」(出エジプト記13:7)の違反にはならず、閉鎖した場所や印付けた場所にパン種を保管するのは許されている。その為に代々の賢者達は、「パン種の売却」という方法を作り出し、過越し祭中に店主や工場が沢山のパン種を大量に異邦人に売却し、毎年多大な損害を得ないように対策している。年と共にパン種の売却は個人宅でも普及し、誰でも「パン種の売却」を行うようになった。根絶したくない残ったパン種をメモし、それを売却の責任者であるラビや集金係に渡すか、インターネットでもパン種売却を取り扱っており、パン種を封鎖した場所か印付けた場所にしっかりと保管し、「売却人」が過越し祭前夜にパン種を異邦人に売却する。売却条件により過越し祭明けと共に、パン種は元の持ち主に自動的に戻ることとなっている。

 中にはパン種の売却を信用せず、家に残った全てのパン種を根絶する習慣もある。しかしパン種を完全に根絶する者達でさえも、パン種が混ざった製品、混ざっているか疑いがある製品、食べ物ではないが混ざっている製品、「見えない、見つけない」の恐れがある製品全てを含んだ、伝統的なパン種売却を行う習慣がある。

過越し祭前夜の種無しパンを食べることの禁止

 賢者達は、過越し祭の前に種無しパンを食べることを禁止し、種無しパンの食事は前夜祭の律法と統一することにした。前夜祭当日の昼食も沢山食べないようにしており、前夜祭の夕食と律法の種無しパンを美味しく食べるようにしている。

 過越し祭前夜以前に種無しパンを食べることを禁止する、様々な習慣が存在している。ニッサンの月の第一日目から食べない人達もいるし、種無しパン粉が入った料理でさえも食べない人達もいる。今年は前夜祭が安息日明けと重なったため、安息日にパン種を食べたくない人達は、炒めたり、調理した種無しパンを安息日に食べることで対処している。

◎お祭り期間

パン種を食べることと所有することの禁止

 過越し祭前夜のパン種根絶から過越し祭の七日目明けまで、パン種、パン種が混ざった食料や、パン種の成分が入ったものを食べることは禁止されている。

●パン種の残りは、パン種根絶の終了時間までに家から廃棄する。パン種とは何か?穀物から作った全ての食べ物と飲み物、それにはあらゆる種類のパン、ケーキ、ワッフル、クラッカー、シリアル、ビールやウイスキーなど。

●パン種が混ざったあらゆる種類の食べ物や飲み物も食べたり使用するのは禁止されている。今日様々な食料品が多くの成分で構成されている為に、独自で各製品の成分を確かめることは困難になっている、その為に「過越し祭コーシェル」のステッカーを信じるしかない。製品に付いているシールが信頼できるものであるかを注意する必要がある。販売会社は有名で信頼できるか、又はそのシールにコーシェルを認定した団体の名前も含んでいるかなど。

●食べ物ではない洗剤や軽症品は、所有することは禁止されておらず、食べないならば使用も禁止されていない。過越し祭コーシェルのシールが付いていないこれらの製品を使用しない習慣もある。

●薬品は、過越し祭コーシェルになっている薬品のリストを保険会社が持っている。コーシェルではない薬を使用することは、病院の容態次第でもあり、医者と認定されたラビと相談する必要がある。

パン種禁止の習慣と意図的編集と厳格化

 過越し祭のパン種は「何かの中」でも禁止され、厳しい禁止法であり、「追放罰」が義務付けられている。その為にパン種に関しては、その他の禁止されている食べ物以上に厳格化する習慣がある。更にまた、パン種は他の禁止されているものとは違って1週間だけ禁止されているので、その為にパン種と種無しパン、過越し祭前夜までコーシェルだったものと前夜祭後にコーシェルとなるもの、過越し祭で禁止されているものなどで混乱しやすい。

 アシュケナジー系では「マメ科の植物」も食べない習慣がある。豆の植物的定義を意味しているのではなく、種や穀物からできている全てのもので、粉引きしてパンのようなものを焼けることが可能なものである。禁止された穀物の粉と混ぜてしまう事を懸念したのだと思われる。マメ科の植物には米、トウモロコシ、大豆やグリーンピースなどの知られた全ての豆類が対象となっている。ピーナッツも禁止されている。新しい品種に関しては、大豆からキヌアまで何が禁止されているか意見が相違している。どんな状態が禁止されているかも同様で、例えばコーシェルに沿って製造され、パン種の懸念が全く無いマメ科のオイルは禁止なのかなど。スファラディ系の一部の会衆も厳格化を受け入れ、米を食べない人達もいる。しかし通常スファラディ系はマメ科を過越し祭では食べている。

 ユダヤ教徒の中には「浸した」ものを食べない人達もおり、つまり過越し祭コーシェルと認定され、ユダヤ律法やユダヤ宗教に沿って焼かれた種無しパンや種無しパンの製品でも、焼いた後に水と触れた者は食べないように注意しており、焼けていない小麦粉が残っていたら水によってパン種化してしまう恐れがあるからだ。この習慣を守る者達は、種無しパン粉から作った食事も食べない。種無しパン粉で出来たケーキやクッキー、クネイダラフ(ミートボールみたいなもの)、種無しパン粉をベースとした全ての料理を食べない。

 過越し祭中は家の外で食べない習慣もある。これは不快なことを防いでくれる。質問して確認したり、疑う必要がない。ただ単に家の外では食べないだけ。招待してくれた人が賢い生徒で、その人の家のキッチンがコーシェルに沿っていると確信していてもだ。

種無しパンを食べる

 「その月の十四日の夕方に、あなたがたは種入れぬパンを食べ」(出エジプト記12:18)。聖書の律法であり、ニッサンの月の第14日目の夜である前夜祭、過越し祭の最初の夜に種無しパンを「ほんの少し」でも食べる義務がある。義務付けられている種無しパンとは、添加剤を含まず、穀物と水のみで焼き上げたものである。

 「ほんの少し」とは、約28立法センチに相当する。種無しパン一枚の3分の1から2分の1に相当すると言われている。これより少ないと考える者もいるが、健康な人達は一般的な意見に従い、一年に一回限りの律法であり、実行するのにそんなに困難ではないことを考慮して行動するべきである。

 過越し祭の他の日には種無しパンを食べる義務はなく、一口だけ食べるのが義務付けられているのは、安息日の食事と前夜祭の食事の時だけだ。小麦粉で出来ている種無しパンを、健康的な理由で食べられない者は、その他の穀物や、適切に処理した小麦粉をベースとしたものが提供されている。


 祭日では教えに定義されている、「命の食事」に関連した行動以外の労働は禁止されている(”火の移行”を含んだ食事の用意、しかし点けたり消したりは出来ない)。ところでもし過越し祭の第一日目の良い日が安息日と重なるならば、安息日の規定を厳守する必要があり、通常の良い日に許可されていることも禁止となる。

「あなたの息子にこう言いなさい」

 過越し祭の最初の夜に、種無しパンを食べながら出エジプトの話を教えるのは聖書の律法である。この律法の原則は、奴隷と救いの話の概要を全員が分かる簡単な言葉で説明することである。賢者達は前夜祭の律法をよりデザインされてアレンジされたシステムに組み込ませ、そのお陰で「セデル・ペーサッハ」(過越し祭の順序)と呼ばれている。セデルは、ミシュナー時代のギリシャ貴族の晩餐に似せてデザインされている。

4杯のコップ

 4杯のコップは、セデルの構成の一つである。1杯毎にその役割がある。最初の1杯目は聖別の為、2杯目はハガダー(物語)の為、3杯目は食事の祝福の為、4杯目は賛美の為。全員4杯飲むことが義務付けられている。安息日のように、聖別されたワインを試飲するだけでは十分ではない。食卓を囲む一人一人、男性と女性は聖別のコップ量が入ったコップ(”4分の1”つまり最低86㏄)持ち、自分のコップから飲む。本物のワインを飲めない者は、グレープジュースを飲むことで十分である(ブドウの実の創造主の祝福の為の本物のグレープジュースであり、グレープ味の炭酸飲料水では十分ではない)。

セデルのお皿

 前夜祭の食卓は、綺麗でお祝いに相応しい食器を並べる習慣がある。中央に「セデルのお皿」を置く。お皿の中には前夜祭の律法の食べ物、3枚の種無しパン、緑菜、苦菜(西洋ワサビの習慣もある)、2つの料理、一つ目は過越し祭の犠牲の記憶、もう一つは祝日の犠牲の記憶。料理の一つは「伸べた腕」(申命記26:9)の記憶としての腕である。過越し祭の犠牲の記憶として羊の脚を使う習慣があり、神殿の外で犠牲を捧げているように見られないよう羊を使用しない者もいる。二つ目の料理はゆで卵を置く習慣があり、神殿の破壊の記憶として喪に服している時の食べ物という次元も持っている。

空いた椅子

 1席だけ椅子を空にする習慣があり、前夜祭に参加できない者を思い起こす為である。昔はロシア系ユダヤ人の為に食卓の近くに椅子を立てていた。ソ連はもう存在せず、ロシア系ユダヤ人達も、他の離散しているユダヤ人のように自由に参加できるようになった。世界中からの帰還者達に素晴らしいおもてなしで歓迎し、お客さんとしてではなく、家主として我々の中に融合されるように学びたいものだ。前夜祭では、出エジプトから現在まで我々の民族になされた全ての慈悲に関して感謝しながら、全ての事に感謝することを記憶する。

お菓子

 前夜祭では子供達が起きているように、お菓子やプレゼントを与える習慣がある。最も賢い方法はアフィコマンを盗むことで、追って記す。

空腹な者は急げ、これは貧しい者のパンである

 前夜祭にはお客さんを招待して参加させる習慣がある。通常ではお客さんを事前に招待するのだが、しかしハガダーには儀式の一部としての招待も残っている。

 様々な会衆では、公式の前夜祭に詩や物語を追加するのが習慣であり、種無しパンを取って頭の上で回し、それは出エジプトを表しており、一部はハガダーの言葉で記されている言葉、一部は故郷の伝統である言葉を唱えながら行う。「急いでエジプトから出た」、「これは貧しい者のパンであり、それを食べた」。

◎前夜祭

聖別

 全ての安息日や祭日のように、ワイン、祭日と「生かしたもうた」を祝福する聖別で食事を始める。今年の聖別はとても特別である。安息日明けに行われるので、祈祷書に記されているように「火の光の創造主」と区別の祝福も追加される。

1回目の手の洗浄

 身の清めを厳守していた時代は、野菜をハーブで食べる前に手を洗うことが義務付けられていた。今日ではこのようにする習慣はないが、前夜祭ではこの古代の習慣が残っている。その為に緑菜を食べる前に祝福しないで手を洗う。セデルを行う者のみが手を洗う習慣もある。

緑菜

 オリジナルの緑菜(カルパス)とは、今日セロリと呼ばれている野菜のようだ。1年のこの時期にこの野菜が無かった地域では、様々な代用品を使っていた。人参からジャガイモまで使用しており、今日でもこの伝統を守っている者もいる。

 何かの「ソース」に浸した様々な野菜を食べることで始めていた、ミシュナー時代の前夜祭の食事が起因して、前夜祭に緑菜が添えられることになった。古代食事の「前菜」であったのだ。何世代にもわたって、緑菜は前夜祭の典型的なシンボルであると主張してきた。「ペレフ」(カルパの反対語)は重労働、「ス」(Sは60の数字)は自由になった重労働の奴隷6万人を象徴する略語である。通常セロリは塩水に浸す。

 セロリを食べ過ぎないように気を付け、最後の祝福をセロリにも祝福する必要があるかの疑問を避けることができ、メインディッシュである律法の種無しパン為に、お腹に場所を残しておくためである。セロリを食べる習慣が残っていることに関する説明の一つには、他の安息日や良い日とは異なり、前夜祭に行われる特殊な行為のために、子供達の興味や好奇心を喚起させる必要があるとのこと。

中割

 真ん中の種無しパンは、前夜祭開始時に緑菜を食べた直後、ハガダーの前に割ってしまう。半分はその場所に残し、食事開始時の祝福用に使用され、もう半分は「アフィコマン」として隠す。オリジナルのアイデアは、食事中に全ての種無しパンを食べきらないことを確実にさせ、アフィコマンの為に最低でもほんの少し残すことであった。年月と共に、隠したアフィコマンの周りでは多岐にわたる経済産業が発展し、一部の会衆では子供によって盗み出され、盗んだアフィコマンで商売をする。これも子供達を可能な限り夜中遅くまで起こしておく為である。

ハガダー

 出エジプト物語の律法。賢者達によると、それは質問と回答によって行う必要がある。「何が変わったか」とハガダーの言葉で息子が質問し、父親が応える。賢者達の言葉通りに語る必要はなく、質問と回答を通じて出エジプトの本質が語られれば良い。ヘブライ語が分からない人達には訳してあげることが良いし、子供達には分かりやすい簡単な言葉で教えてあげるのも良く、特に食卓を囲む若者や、ヘブライ語の初心者にとって時々困難で変に聞こえる賢者達の言葉で書かれたハガダーだけに満足しないようにする。

 息子が質問することに興味を持たせるために、通常の安息日と祭日の食事の順序から、幾つかの変化や特例を使用している。塩水に浸したセロリを食べる。食卓を食事中の者から取り除く(今日ではセデルの皿を取り除くことで十分)、これらによって子供達が何が変わったかと質問することに気づく。

 出エジプトの物語は、コップ一杯のワインと共に話す必要がある。その為に聖別の終了後、ハガダーの直前に2杯目のワインをコップに注ぐ。

 過越し祭のハガダーには、様々な時代の文章引用が組み込まれている。聖書、賢者達の本や、その後の時代のものである。例えば「何が変わったか」の質問と、「我々が食べるこの種無しパンは…」という回答は、既にミシュナーに掲載されている。「わたしの先祖は、さすらいの一アラム人であり…」(申命記26:5)の聖句に関する注釈は、古代の情報源からである。これらに賢者達を情報源とする文章が追加され、その後詩も追加され、その筆頭として「ダイェーヌー」がある。ハガダーではいつコップを飲むか明記されており、朗読の最もお祝いする部分である。いつ種無しパンを見せるか、何処にお皿を移すか。全て朗読の順序とその内容に適応している。

 エジプトの10の災いを読むときに、各災いでコップからワインをたらす習慣がある。ワインをたらす方法も様々な習慣があり、指や道具を使ったりする者もいる。

賛美

 詩篇の感謝の歌(113篇から118篇)である「賛美」を読むのは賢者達の律法である。ハガダー終了時に最初に二つの歌から始まり、食事と食事の祝福後に続ける。

 最初の二つの歌の後に、前夜祭の最初の部分が終了し、「我々が救われた」を唱えてハガダーを祝福し、2杯目のワインを飲む。

 特に食卓に座っている一部の人が若者であったり老人である場合には、書かれている内容以上にハガダーを長時間延長することは良くない、何故なら面倒に思われるからだ。決められた内容を読み、食事中に出エジプトの話、賢者達の言葉、質問と回答、物語と面白い話などを続ける。こうすれば参加者全員が最後まで残り、アフィコマンを食べるのも遅くならないで済む。

食事(手の清め、祝福)

 食事の内容は、聖書の食事の律法や、賢者達が加えた全てを含んでいる。全ての食事でパンがある場合のように、食事前の手の清めから始まる。3枚の種無しパンを割り、2枚は安息日用と同様の「2個のパン」、割れたもう1枚はその中間にあって「貧困のパン」を象徴している。パンを食べるのと同様に「与える主」を祝福し、律法による「種無しパンを食べること」を祝福する。完全な1枚の種無しパンから「ほんの少し」、割れた種無しパンからも同様に食べる。食卓を囲んでいる者全員がほんの少しの種無しパンを食べることが律法であり、セデルを行う者の種無しパンから小さい破片を食べるだけでは十分ではない。

 その後苦菜を食べることを祝福し、「苦菜」であるレタスか西洋ワサビからほんの少し食べる。苦菜は、エジプトでイスラエルの民が労働として作っていたレンガを思い起こす為に、果物とワインの甘くて酸っぱい混ぜ物であるハローセットに浸す。

 その後にまた、苦菜をほんの少し挟んだ、種無しパンをほんの少し食べる。過越し祭の種無しパンと苦菜を包んで一緒に食べるのは、老ヒレルの習慣であった。

 一つは過越し祭の犠牲の記憶、もう一つは祝日の犠牲の記憶である、最低二つの料理を含んだお祭りの食事を続ける。

 食事が終了したら、「アフィコマン」(ギリシャ語で食事のデザートの意味)をほんの少し食べる。律法の種無しパンは食事の最後に食べられることになっており、その後には何も食べないので、種無しパンの味がそのまま口の中に残る。アフィコマンは教えの通りに零時前に食べるのが良く、居住地に沿って時間を確認することが必要である。

 アフィコマンを食べた後に3杯目のワインを注ぎ、食事の祝福を唱えて3杯目のワインを飲む。ワインには「最後の祝福」を唱える。

寝て食べる

 賢者達は、古代ギリシャの貴族や、ミシュナー時代のイスラエルの地での富裕層の食事方法であった、横に寝ながら前夜祭の律法の食事や飲み物の飲食する必要があると決めた。苦菜は奴隷を象徴しているので、このような形で食べてはいけなかった。もう我々は横に寝ながら食べる習慣が無くなり、横になって食べるのは面倒だ。殆どの家ではセデルの責任者だけが柔らかい椅子に座り、他の食卓を囲む者達は机に寄りかかったり、椅子の取手に寄りかかったりすることで満足し、左腕に寄りかかることになっている。中にはソファーとクッションを使って、横に寝ながら食事の最初の部分を行う者もいる。

 各会衆や各家族に伝統的な前夜祭の食事があり、余りにも多いのでここで明記するのは不可能だ。

賛美とセデルの完了(賛美、満足)

 4杯目のワインを注ぎ、賛美の唱えを完了し、賛美の終了の祝福である「歌の祝福」で終わらせ、4杯目のワインを飲む。ワインの最後の祝福を唱える。

 セデルが完了した後に、各会衆の習慣として様々な詩を唱える習慣がある。最も有名なのは「ハッド・ガディ」だ。雅歌を読む者もいる。

◎祭日

 お祭りは喜ぶ必要があり、肉を食べたりワインを飲んだり、家族に服を与えたり、嬉しいプレゼントを与えたりする。最も重要なのは、何も得られない者にも喜びを与えることだ。

 賛美の唱え、聖書朗読、しめくくりと追加祈祷を含んだ祭日の朝の祈祷を祈る。春の巻物である雅歌を読む者もいる。同じ巻物から朗読し、「聖書朗読について」と「我々を生かせたもうた」を祝福する。祈祷後にワインを聖別し、2枚の完全な種無しパンである「2個のパン」を含んだ良い日の食事を用意する。昼の祈祷は他の祭日と同様である。

オメルの数え

 祭日明けの夜の祈祷でオメルの数えを開始し、「主の戒めで我々を聖別し、オメルの数えを命じられた」を祝福する。夜の祈祷後には、安息日明けと同様に区別する。

◎中日

 中日に禁止されている労働とは何かを詳細には聖書に記述されておらず、賢者達がそれらを定義した。賢者達は、安息日のような労働の種類と定義された禁止ではなく、それが実行される状況によって定義されると決定した。

 賢者達は、中日の労働として許可されている5つの基本項目を決定した:

●「中日の必要性」:中日の必要性の為の労働は許可されている。しかし事前に行うことが出来た労働を中日に残したという意思がなく、祭日後に予定していた労働の為に中日を利用することも出来ない。

●「失われるもの」:処理をしないと大金を失うことになるもの。例えば、水を節約したり濡れる被害を防ぐために、壊れた蛇口を修理するのは可能だ。

●「素人の労働」:専門的な知識を必要としない労働。例えば服のボタンは直してもいが、マフラーを編むのは駄目。

●「大勢の必要性」:一般市民の必要性の為に行われる労働は許可されている。例えば、地方自治体による道路や歩道の舗装などは中日でも許可されている。

●「彼には食べる物がない」:最も基本的なレベルで生活費が必要な者は、中日でも労働することは許可されている。

神殿参拝

 「神の宮の訪問」や、神殿参拝律法の記憶として、祭日中にエルサレムに上る習慣がある。聖なる場所を遠望し、西の壁で祈るか、又は大丈夫だと思う者は、身体を清めて許可された場所が制限された神殿の丘に上る。今日神殿の丘に上ることは完全に禁止している者もいる。

 最近の世代で発展した週間では、西の壁で大勢の人と祭司の祝福を受けることだ。今年は感染状況の為に、祭司の祝福は2日間に分けられる。3月29日月曜日(中日第一日目)、と3月30日火曜日で、人の密を避けるためだ。

料理の混合

 (今年の過越し祭には無関係)。過越し祭の第七日目が金曜日と重なるならば、金曜日に土曜日の準備を奨励して可能とするために、その日は良い日であっても「料理の混合」を行う必要がある。安息日に入る前にパンと料理、多くはロールパンとゆで卵を使うが、安息日を忘れずに安息日への準備を開始したという事実を印付け、良い日に安息日の準備をやり過ぎないことも意味している。「料理の混合に関して」祝福し、祈祷書に掲載されている混合の言葉を唱える。

 パンと料理は安息日の為に保存し、安息日の食事でそれらを食べる。「料理の混合」によって金曜日の午後、通常の安息日用ロウソクの点灯予定時間に、安息日用のロウソクを点灯することが可能となる。

◎過越し祭の第七日目

 労働の禁止以外は全ての祭日と同様に、聖別の義務もある。良い日の食事と祭日の祈祷、賛美の唱え追加、聖書の朗読、しめくくりと安息日の祈祷だ。過越し祭の第七日目が安息日と重なるならば、祭日の最後にしめくうりを行うことななく(安息日に入る為)、安息日の聖別のみを行う。

 出エジプトの第七日目にイスラエルの民は紅海を横断した。その為に過越し祭の第七日目に、殆どの人達は「海の歌」を唱える。聖書の話と詩の為にシナゴーグに集まり、主に皆で海の歌を唱える。海岸に近い居住地では、本当に海岸まで出て海の歌を唱えるのが習慣だ。今年は保健省の指示を遵守し、来年は通常通りに過越し祭をお祝いすることが出来るように皆でお祈りをしよう。

祭日後

 賢者達は、パン種の根絶を実行せず、「見ない見つけない」の罪を犯した罰として、過越し祭を通り過ぎたパン種を禁止している。その為に注意しなければならないのは、過越し祭後のパン種を購入する際に、お祭り後に焼かれた新鮮なパン製品であるのか、又は店主がパン種の販売を禁止されているのかを確認すること。もし過越し祭前にパン種の売却を実施していたならば、そのパン種は許可される。

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