昨夜(土曜日)ガザから発射されたロケットが、アシュケロン南部の工場地帯の倉庫に着弾した。負傷者はなかったが、建物に被害が出ている。アイアンドームは作動されなかった。アシュドッドの町で21:36に警報が鳴り、住民はシェルターに避難していたが、同地区で大きな爆発音が聞こえたと報告があった。ブラジライ病院では、シェルターへ逃げようとしていた妊婦が途中で躓いてしまい、病院に運ばれたが異常はない。
このロケット発射の報復として、イスラエル軍はガザのハマス拠点を攻撃した。軍スポークスマンによると、戦闘機と戦闘ヘリがロケット製造工場、地下施設と海軍軍事練習施設を攻撃したとのこと。「テロ組織のハマスは、ガザから攻撃される全ての責任を持っており、イスラエル市民に対する如何なるテロ活動に関しても責任を負う」と伝えている。
またイスラエル軍では、国境付近に配置されていたイスラエル軍戦車が、アシュケロンの工場に着弾したロケット発射直後にハマス拠点へ砲撃したことも調査している。兵士達は通常のプロセスに沿って、既に空となっていたハマスの拠点に砲弾を撃ち込んでいる。兵士達は許可なく砲撃を実施しており、パレスチナ人の発表に対してハマス拠点を攻撃していないとリアルタイムで軍が発表している。砲撃の理由は過度な接触の結果と見られており、ガザ師団が調査を継続している。
軍によると、アシュケロンの工場地帯に着弾したにも関わらず、ロケットに対して迎撃発射されていないとのこと。アイアンドームによって迎撃されなかった、前回の短距離ミサイルと今回の長距離ミサイルで今週は二発目となった。空軍ではこの二度の出来事を調査している。
先週も同じ安息日明けにガザから2発のロケットが発射され、アシュケロンとリッション・レツィヨンの野原に着弾した。アイアンドームが作動し負傷者はいなかった。迎撃ミサイルの破片がバットヤムの海岸線に被弾している。軍の戦闘機と戦車がガザ地区ハマスの攻撃目標を砲撃した。
先週のロケット発射後に、ガザの組織は落雷がロケットを発射させたと主張した。最初はイスラエルを馬鹿にし、彼らの冗談として主張していると考えられていたが、その後イスラエル軍が内部情報を分析した結果、どうも荒れた天候が発射を起こした可能性があるとされた。しかし毎回の言い訳はガザの通常手段となっており、イスラエルからの報復攻撃を抑制させるためとなっている。
昨夜のロケット発射は、半年間停止していたセキュリティ調整再開の発表をした、イスラエルとパレスチナ当局との関係緩和にハマスが反対していることが背景となっている。イスラエルとパレスチナ当局との関係緩和の結果、ハマスは近日中にイスマイル・ハニヤを筆頭に緊急上層部会議が持たれる予定である。過去数週間にファタハとハマスは、相互の和解とパレスチナ議会の選挙実施に関して上層部が話し合いをしてきた。イスラエルとの関係によってこの対話も失敗する恐れが出ている。
セキュリティと民間調整を含むイスラエルとの関係を凍結させたパレスチナの決定は、イスラエル政府が西岸地区を合併する意思があると、今年最初にネタニヤフ首相が発表したことが原因となっている。しかし現在バイデン氏がアメリカ大統領として選ばれ、パレスチナ人は方向性を変えたと見られている。
パレスチナ当局上層部は、バイデンがアメリカ大統領に選ばれた後の勢いを利用し、パレスチナ市民の間で絶望感が高まっていることに直面した成果を見せようと試みている。国防関係者は、今回の調整再開がイスラエルとパレスチナとの間に和敬交渉の再開も生み出す可能性があると予想している。