絵葉書のように見えるタボール川と、ヨーロッパ人が採集してイスラエルから絶滅しそうになった素晴らしいイリス。これらがニッサンの月にお勧めの観光スポットだ。その美しさの為にイスラエルの景色から消滅しそうになったエレガント・イリスは、毎年ペーサッハ祭(過越し祭)の時に花咲く。春はもっと美しい場所として見えるように、タボール川の玄武岩渓谷でも素晴らしい場所に変えてくれる。マウンテン・ルピナスの紫色開花で山の麓が覆われるからだ。
●玄武岩渓谷でルピナスが花咲く時
ルピナスは、イスラエル人が最も好む花の一つであり、自然で出会うたびに感激する。海岸平野地方のルピナスは主に白色の花(パレスチナ・ルピナス)であるが、もう少し高度が高い地域だと青紫色のルピナスの花と出会えることが出来る。これがマウンテン・ルピナスであり、特に印象的なカーペットを作り出してくれる。
この季節のタボール川が流れる斜面には、マウンテン・ルピナスの開花で青色に染まっているのが見られる。容易な散策コースではないが、他の季節でもイスラエルで最も美しいコースの一つとされており、ルピナスによって更に美しくなる。この川のお勧めコースはキブツ・ガジットから始まり、そこで川は屈曲した「玄武岩渓谷」を流れ、周りの岩壁は茶色、赤色、黒色の多彩色となっている。
ルピナスが開花する前の冬では、この渓谷は明るい緑色の草で岩壁が彩られ絵葉書のように見える。この地域では国内でパレスチナ・タートル(亀)が最も多く生息する場所でもある。
●ヨーロッパを魅了したエレガント・イリス
イスラエルで最後に咲くイリスの品種はエレガント・イリスで、丁度ペーサッハ祭(過越し祭)の時期に毎年花が咲く。名前の通りイスラエル・イリス達の中で最も美しいのがエレガント・イリスだ。
このイリスの品種は、スイス人植物学者ウイリアム・バービーの本に1882年に発表された。同年にカラー写真印刷技術が発達し、バービーが発表した花の色の写真はヨーロッパ人を魅了した。ヨーロッパの庭師達はどんな値段でもこの花の苗を手に入れようとした。
研究者で旅行ガイドのミハ・レバナ氏は自著の本で、アッコーの港の記録にはエレガント・イリスの苗だけで数千袋の出荷が記されており、北部の農家達は自分の畑を耕すことを中止して、ヨーロッパの需要を満たす為にイリスを探して採集しに行ったと記されている。
しかしヨーロッパの庭でエレガント・イリスは1~2年間咲いた後に枯れてしまい、エレガント・イリスは世界から絶滅したと言われていた。幸運にも採集者達は全てのエレガント・イリスを引き抜くことに成功せず、一部の花が上部ガリラヤの東部、フーラ湖とサマリア地方に生き残っていた。
エレガント・イリスの数十個の美しい開花は、メトゥーラの近くにあるテル・アベル・ベイト・マアッカの北西側の斜面で見ることが出来る。この場所へは90号線を北上し、テルハイを通り過ぎたらユーバル村に向かう。約150m先を左折し、テルの麓に到着するまで約1.5km北上する。そこからアユン川付近の素晴らしい展望も可能だ。
沢山のエレガント・イリスが花咲くのはマラキヤ山にもあり、北部道路の近くである。キブツ・マラキヤへ西に曲がる交差点の近くで、コーアフ要塞とアビビームの間にある。キブツに曲がる交差点の北東に生息地がある。
もう一か所の花が見られる場所は、テル・ハゾルの近くのアイェレット・ハシャハル・イリス自然保護地区だ。90号線を標識に沿ってアイェレット・ハシャハルとテル・ハゾルに向かって走り、アイェレット・ハシャハル自然保護地区の約100m手前で花咲いている。イリスはディション川と、バルアムとイルオン間の道路付近にある「イスラエル・ナショナル・トレイル」でも見ることが出来る。
エレガント・イリスは保護された花です。触れることも持ち帰ることも禁止されています。また徒歩観光中にまだ咲いていない花を踏みつけないように気を付けてください。