何年にも渡って語り継がれ、多くの混乱を引き起こした魅力的なおとぎ話は、昨日グッドエンドとして終わりとなった。全てのおとぎ話の始まりのように、ずっと昔にイスラエルがトルコに支配されていた時代の話である。キブツ・ロハマとネゲブ砂漠北部のポレー自然保護地区間にあるテル・ナジーラ付近に住んでいた家族が、多くの黄金が入った宝の箱を所有していた。
おとぎ話によると、その家族は宝物が盗まれることを恐れ、自宅の近くにあった丘の上の地中に箱を埋めてしまった。その隠し場所を忘れないように、代々の印となるように一本のギョリュウの木を植えた。それ以降宝物が入った箱は、今でもギョリュウの木の舌の深い地中に眠っており、未だ発見されていないと語り継がれてきた。
何年も経過し、おとぎ話に色が加えられて代々に語り継がれていった。この話を色々な盗賊達が聞いた時に、その場所へ行って木の下を掘ってみた。何世代もかけて好奇心がある人が木の下を掘り、重機を使用したこともあったが、何も発見しなかった。ただしギョリュウの木の根と幹に多大な被害だけを残していった。
しかしこの古いギョリュウの木は負けずに、毎回残酷な被害を受けても立ち直ってきた。独立戦争時もこの木は耐え、パルマッハ部隊はこの木の下に陣営を開き戦いを支援した。その後には環境保護団体がやってきて、長年かけて掘られた穴を埋め、木の回復を試みてきた。それから年が経過し、古いギョリュウの木も老木となり、これ以上耐える力も無くなった。去年3月の荒れた冬の日に、ギョリュウの木は強風に勝てず、倒れておとぎ話と共に死んでしまった。
テル・ナジーラの上にあったギョリュウの木は、ネゲブ砂漠北部の有名な場所の一つで、多くの訪問者がやってきて木陰で涼しんでいた。この木が枯れてから多くの人が木を懐かしんだ。
しかし自然界の歯車は動いており、この話の最後には新しい始まりがある。今回のケースでは人間の行いであった。数週間前にこの場所に新しい木を植えることが決定した。シャアル・ハネゲブ地方議会、ユダヤ民族基金とドール・ハパルマッハ団体が、この場所に新しく、若くて根を深く伸ばし、大きくなってまた木陰を作れるギョリュウの木を植樹することを決定した。
先日老木が立っていた場所に新しいギョリュウの木が植えられた。今回は老木に被害を与えたおとぎ話も失われた金貨の箱も無い。植樹式では参加者全員が感動していた。この式典には、独立戦争時にこの場所にいたパルマッハ部隊の兵士達も参加し、テル・ナジーラは当時戦略的に重要な場所でもあった。地方議会議長のオフィール氏は式典に於いて、「古代の栄を元に戻すことを決定し、百年以上も生えていた老木の場所に新しいギョリュウの木を植える。今回の植樹は、創設80周年を迎えたパルマッハ部隊と一緒に祝うこととした」と語った。
「テル・ナジーラでは、1948年のパルマッハ部隊の戦闘の一つが起きた。エジプト軍に落ちないようにテルの守備は、ロハマ空港を使用して兵糧攻めにあっていたネゲブへの供給を可能とした。今日この場所は週末に数十人が訪問する観光地となっている。この周辺には建築が進んでいるシャアル・ハネゲブの居住区が多々ある。キブツ・ロハマや周辺の初期の居住区を守ってきた、パルマッハ部隊の創設80周年をこの場所で祝うのは誇り高い」と語っている。