コロナ禍の影響でシナゴーグ内での祈祷が制限され、室外で祈ることを余儀なくされている信者達から様々な質問がラビへ送られてきている。
質問:
各家庭専用のごみ箱が家の近くの通りに設置されるようになった。ゴミは1週間に2回回収され、普段は蓋が閉まっている。このようなゴミ箱の近くで祈る律法はどのようなものか?どれくらい離れる必要があるのか?祈祷中にゴミ箱が視界に入らなければ良いという意見もあれば、臭いがするなら離れる必要があるという意見もある。教えは?
回答:
聖書では陣営に出る者は清掃と身の清めを守らなければならないと命令している。「あなたの神、主があなたを救い、敵をあなたにわたそうと、陣営の中を歩まれるからである。ゆえに陣営は聖なる所として保たなければならない。主があなたのうちにきたない物のあるのを見て、離れ去られることのないためである」(申命記23:14)。祈祷中とシュマアの祈りの時の清掃と身の清めに関して、多くの律法を学ぶ必要がある。
ガムラでは、賢者達は糞や他の原因で嫌な臭いがする場所では祈ってはならず、離れる必要があると教えている。「人糞や犬の糞、豚の糞や鳥の糞、嫌な臭いがするゴミに向かってシュマアの祈りを誰も唱えてはいけない。臭いものから10テパフの高い所、又は10テパフ低い所、又はその隣に座っているならばシュマアの祈りを唱えてはらない。もしそれらが無理ならば視界に入れないように祈祷する」(祝福の規定)。
つまり汚い場所や嫌な臭いがする場所では祈祷とシュマアの祈りを唱えることは禁止されており、遠ざかる必要があるということだ。嫌な臭いから遠ざかる時にはこうしろとある。「嫌な臭いがするならば、臭いの源から4アモット離れ、シュマアの祈りを唱えなければならない」(祝福の規定)。
臭いの源から4アモット(約2m)遠ざかるのか、臭いがしなくなる場所まで遠ざかれば良いのか、賢者達の意見は分かれている。律法ではこう解釈されている。「自分の背後に人糞がある場合、臭いがしない場所まで4アモット遠ざかる必要がある。もし臭覚に問題がある者がいたとしても、臭うことが出来る者が臭場所の4アモットまで遠ざかる必要がある」(シュルハン・アローフ、ライフスタイル)。
ただしシュルハン・アローフには続きとして、もし臭いの源が前方にある場合には、「夜中であったとしても視界に入らないように遠ざかり、日中ならば視界に入らない場所まで遠ざかる必要がある」と書いている。これらに沿って明確なゴミ箱に関する質問への回答は、ゴミ箱からの距離が近い為にその近くで祈ることは禁止されているということだ。
他の律法ではこう言っている。「器に入った糞(ガラス瓶)ならば、底から中身が見えようが上からカバーをしているならば、それに向かって祈っても良い。”出た物をおおわなければならない”(申命記23:13)と書いているので、覆われていれば良い」(シェム)。
つまり中身が見えたとしても糞が器の中にあれば祈ることが許され、聖書でも糞を覆えばよいという命令なので、透明な器の中でも覆っていれば良い。勿論これもその場に臭いがあってはならない条件としている。
もしゴミが容器の中にあって蓋をされ、臭いが立ち込めていないのならば、そこで祈っても良い。この教えを持ってカテーテルに接続されている入院中の病人が、祈ることを許可されたのもつい最近の事である。勿論清潔な場所で祈る必要がある。しかしゴミ箱の中で蓋がされており、臭いが立ち込めていないならば祈ることは許される。(コハブ・ヤイールのラビ・シュムエル・シャピーラ)