ギブアタイム市で有名なファラッフェル屋のオーナーであるシャイ氏は、経費削減の一環としてコーシェル認可を断念しなければならなかった。「経済停滞はコロナ以前から始まりコロナが決定打となった。自粛中に色々と試行錯誤し、痛いのは承知で経費削減をしなければならない結論に至った。選択の余地はない」と同氏は語った。
40年以上も経営してきた店だが、年間数千シケルの費用がかかるコーシェル認可の継続中止を決定し、ユダヤ・ラビ議会は同店のコーシェルを無効にした。「コーシェル認可は年間に税抜きで7,500シケルかかる。この経費だけが運営に直接影響するわけではないが、コーシェルを示す看板、専用の机や椅子、その他全ての経費を考慮すると生き残ることができない。運営を継続するためにどの部分を切り離すかを選択する必要がある」。
「我々はラビ議会に対してクレームは無いしアンチでもなく、信仰心は持っているのでラビ議会やコーシェルの重要性さを良く理解している」と同氏は付け加えた。
ただしコーシェル無効に関するラビ議会の対応は、もうコーシェルではないから気を付けろという耳障りな一般市民への通告であった。「42年間も言われた通りの金額を支払ってきた。クレームも問題も起こしたことはなかった。今日経費削減という状況下で支払い金額の軽減を依頼し、ラビ議会も対応しようとしてくれたが満足できる金額が提示されなかった。長い付き合いなのだから、もう少しこちらの言い分に耳を傾けて欲しかった」と同氏は語った。
ただ彼はラビ議会を責めてはいない。「全てビジネスだ。ラビ議会にも経費があるし、与えるものにも限度がある。しかし最後に影響するのは店の従業員の給与減額か、食材を安いものに変えることであり、そんなことは絶対にしない。父親は1978年から毎日朝の6時から夜の22時まで仕事をし、住民に愛されてきた。開店してから今日まで同じピタパンを使っている。食材は何も変わっていないし変わることもない。もしこのピタを使用するためにコーシェルを諦める必要があるならば、そちらを選択する」とシャイ氏は語った。
SNS上ではコーシェル認可がなくなっても、家族経営の老舗店に友好的なレスポンスが数多く書かれている。「こんなに支援してくれるとは思っていなかった。皆の反応に心温まるし感動した。この応援がずっと続いて欲しいと願っている。ただ今回の決定は宗教的ではなく、純粋な経済理由であったことを明言しておく」と語った。
同市のユダヤ宗教議会の反応は、「コーシェルは義務ではない。コーシェル監視員派遣は有料でありボランティアではない。監視のないコーシェルはない。監視員への支払いは約500シケルで、同店に対し宗教議会はコロナ期間の監視料金を請求していない。この監視料金でさえも支払いたくないとのことなので、コーシェル認可を取り消した。コーシェル認可を取り消した店に関し、どの店でもその旨を一般市民に通知するのは我々の責任である」と回答した。