まだ閉鎖中のキブツ・スデーボケルにあるベングリオンの家では、この現状を利用して、1973年に他界したイスラエルの初代首相が残した服や遺品の整理やメンテナンスを行っている。
現場の職員達は、「老人」が使用していた洋服、カーペット、カーテン、シーツ、ベッドカバー、タオルやハンカチまでもクリーニングとメンテナンスに出している。洋服ダンスには、キブツの農場で作業服として使用していた多くのカーキ服があり、式典用のスーツ、シャツ、ジャケットやネクタイなどもある。ベングリオンが特に愛用したつなぎの下着、コート、砂漠の冬用セーター、トルコ帽子、キッパ、軍帽やカフィア(アラブの布巻)もある。
現場の職員達の注目を引いたのは、ワンジーパジャマと袖に血痕があるジャケット、1957年の国会議事堂に投げ込まれた手りゅう弾で負傷した時にベングリオンが着用していたものだ。現場の責任者であるギル氏は、ジャケットもクリーニングに出すが、血痕はそのまま残すそうだ。
現場の職員達は、これらの遺品のクリーニングとメンテナンスの過程はとても繊細で、最低1か月はかかると語っている。このミッションには、ネタニヤ市の特殊クリーニング会社が選ばれた。
「インテンシブなメンテナンス作業を実行するには今が最適だ」とギル氏は語った。「代々に継がれる遺産を保守している。このクリーニング作戦にはとても興奮している。人の家はその人の人格を表す。ここにある遺品は一つ一つが特殊な意味を持ち、彼が偉大なリーダーであったことを見せてくれる。この家はついさっきベングリオンが外出し、もう少ししたら帰宅するような雰囲気で残されている」。
「彼が市民の軍隊であるイスラエル軍を組織した。ここにある洋服ダンスからも我々自身のことを学ぶことが出来る。幸福にもこれらの遺品を保存することに成功し、老朽は感じられない。カーキ服も何着もあり、彼が良く着用していたことが分かる。彼がどのように生活していたかを理解することにより、一人の人間としての彼に我々を関連付けてくれる」とも述べた。