イスラエル体験談:割礼

創世記17:10「男子はみな割礼をうけなければならない。これはわたしとあなたがた、及び後の子孫との間のわたしの契約であって、あなたがたの守るべきものである」


 これが割礼の始まりで、アブラハムは99歳、イシマエルは13歳、イサクは生まれて8日目に割礼を受けたと書かれていることから、ユダヤ人は生後8日目に、一方イシマエルを祖先とするアラブ人は13歳までに割礼を施すことになっています。


 ユダヤ人の割礼式では、シナゴーグや自宅などで祖父か父親が赤ちゃんを膝の上に乗せ、割礼の資格を持つラビが施術します。赤ちゃんの唇に赤ワインを少し垂らして湿らせて、陰茎の包皮をつまむ道具に沿ってナイフで切り、局部に滴るその血をラビが口で吸い取って(日本人にとってはびっくりの文化!)包帯をして終了という流れです。そしてこの割礼によってユダヤ人としての誕生が認められ、父親が子供の命名をするという儀式なのです。私の上の二人の息子はユダヤ人(母親がユダヤ人)なので、二人とも8日目に割礼を受けました。


 また、一番下の息子は非ユダヤ人(現在の妻が日本人)ですが、日本とイスラエルの二重国籍保有者でありイスラエルで育てるつもりですので、同じ形でないとプールの時などに他の子にいじめられる恐れを考慮して、同じ施術を受けさせました。ただし、非ユダヤ人ですので生後8日目という縛りは無く、宗教的な儀式も行われず、自宅で外科医に来ていただき行いました。手技自体は、一つ上のオトコ?の“上野マンのCMで日本でもおなじみのあの手術と同じようです。ちなみに宗教上の割礼は基本無料ですが、ラビに心づけのお礼をしなければなりませんし、手術ですと$750~800程度かかります。よく議論となるのが赤ちゃんにとって割礼が痛いのか痛くないのか。ラビの話ですと赤ちゃんにはまだ神経がそこまで発達しないので痛みのせいで泣くのではなく、下半身を裸にされるから寒くて泣いているということでした。一方、外科医の話だと赤ちゃんだって痛いのは当たり前で、しっかり麻酔をかけてあげる必要があるということでした。


 経験した私だから言えることですが、大人になってからの割礼は想像を絶する痛さです。しかも、長く苦しみます。私は改宗後の24歳の時に病院に呼ばれ(ユダヤ人であっても大人は病院にて行う)、ロシア系の老若男子20名くらいと一緒に受けました。麻酔をかける医者とラビが二人いて、まず最初に局所麻酔がかけられます。その時に医者が「これを打つね」と言って持っていたのが見たこともないくらい大きな注射でしたが、その針の太さに驚いて「ちょ、ちょっと待って」と言いかけたところにブス~っと躊躇なく一刺し。高校では極真会の部活で鍛えた心身ではありましたが、さすがの私もその衝撃的な痛さに涙が一滴すーっと流れ落ちました。合計6発くらい打たれた後にラビがやってきて祈りを施しながら割礼をし、赤ちゃんと同じようにそのものをラビが口で吸い上げて(え!?)、医者が最後に溶ける糸で切り口を縫いました。20分くらい休憩し、ラビがやってきてワインと共にユダヤ人になったことを感謝する祈りを捧げ、「今日から40日間は夜の夫婦生活はダメだよ」と注意されて無事終了。本当はタクシーで帰宅したかったのですが、捕まえるのが面倒な場所で、麻酔が効きまくっていたのでそのまま歩いて帰宅しました。本当の地獄の苦しみは、その後1週間。施術当日夜から信じられないくらい局所が腫れてドクンドクンと刺すような激痛で全く眠れませんでした。そして、血流の関係で毎朝5時には激痛で目が覚め、そーっとそーっと30分以上かけてトイレを終えたら毎回洗浄。そんな状態だったのにかかわらず8日目にはテレビ局と仕事をしていたのですから自分でも驚きです。しかし、その時に困ったのはやはりトイレ。現在の創傷治療では湿潤環境を保つハイドロコロイド材などで保護するのが常識ですが、25年以上前はそのようなものはありませんでした。局部と下着の間に血液やら浸出液がくっついてしまうので、毎回覚悟を決めて息を止めて思いっきり下着を下げるのが大変で大変で。。。10日目くらいから糸が溶けだし、ラビの言った通り本当に40日目に完治しました。


 傷が治ってからチーフラビの前で沐浴し、ユダヤ名(自分の場合にはヤコブ)を命名して証明書を貰い、それを宗教省に提出して内務省にユダヤ人として登録されるというシステムになっています。その沐浴に関しては、また次回に。


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