イスラエル体験談:ユダヤ教への改宗

日本人にはあまりピンとこない内容ではありますが、ユダヤ教に改宗した時の経験談です。まずユダヤ人の定義は女性(母親)がユダヤ人であれば子供もユダヤ人として認められるので、普通外国人男性とユダヤ人女性が結婚した場合にはユダヤ教に改宗する必要性が無く、逆に外国人女性とユダヤ人男性との結婚の場合に女性がユダヤ教に改宗するというケースの方が多々あります。

改宗する理由も人それぞれですが、多くはやはり結婚というのが理由になっており、相手方の家族がユダヤ教結婚式を挙げたいから改宗してくれとお願いしてくるケースです。でもイスラエルへの居住権を得たいとか、純粋にユダヤ教になりたいという理由の人達もおり、彼らのことをユダヤ教では「義の改宗者」と呼んでます。

自分のケースも前者の通り全く必要性を感じてはいませんでしたが、両親が最初に改宗したのと、長男が生まれて8日目に割礼式があった時に、異邦人としての自分では宗教儀式に於いて子供に何もしてあげられないという現実にショックを受けました。

91年の湾岸戦争の影響で仕事が7カ月間無くなり、その時に両親の改宗を手助けしてくれたラビさんの故ニッシーム先生から「君もここに住むなら改宗する方が良いよ」と勧められたのがきっかけとなりました。

ラビさんからまず教えられたのは、普通改宗は本人からラビへ依頼しに来るのであって、自分のケースのようなことはまずないこと。ただ両親も改宗したし、ユダヤ人と結婚しているからラビさんから勧めてくれたのだと教えてくれました。普通ならラビさんに改宗の勉強をお願いしても直ぐに受け付けず、「何故改宗したいのだ?」とその理由を確かめられます。それは本人がやりたいのか、それとも他人から頼まれてやりたいのか、そのやる気を見極めるためであり、ラビさんも自分の勉強があるので途中で挫折するような連中を相手する暇はないのです。

その最初の難関を越えれば改宗の勉強が始まるのですが、普通ならば毎日通って勉強しなければならず、自分の場合は遠い場所であったので週一で通いながら勉強をしました。最後の改宗テストも口頭テストなので全て内容は暗記する必要があります。このお祭りはいつから始まる、何故そんなお祭りができたのか、何故この宗教道具を付けるのか、安息日の細かい決まりなどなど。普段の生活でもキッパ(ユダヤ教の信仰心を表す小さい帽子)を被り、週末や祭日はちゃんと律法に沿って生活しなければなりません。

ニッシーム先生は優しい方だったので一度もしませんでしたが、本当はラビさんが改宗者の家まで来て抜き打ち検査をし、ちゃんと律法に沿った生活をしているか調べるそうで、一つでも守っていなければその場で改宗は打ち切りになります。既婚者の場合には配偶者も改宗の対象となるので、片方だけが守ればいいということではありません。

また毎日3回の祈りを勉強するために、自分で自宅近くのシナゴーグへ行って改宗のことを伝え、その場にいさせてもらうことをお願いする必要があります。祈り方まで先生は教えられないので、これをちゃんとやるかは自分のやる気次第だと言われました。そんな生活を10か月間続け、最後に先生が口頭テストをし、結果が良ければラビさんの一つ上にいるチーフラビ(キリスト教の司教様みたいなもの)に改宗のお願いをしに行きます。

その日時と場所に3人のチーフラビとテストを受ける人達が集まり、一人一人呼ばれて口頭テストを受けるのです。自分の場合には10人改宗者がおり、最初の人は1時間も質問されていました。ただその後二人目が45分、3人目が30分と段々短くなっていくことに気付きましたが、幸運にも自分は最後の10番目でした。自分が呼ばれてチーフラビの前に座った時には皆疲れ切った顔をしてため息をついており、「君は何故改宗したいんだ?」と聞かれたので答えようとしたらニッシーム先生が「彼は両親が義の改宗者だし、ユダヤ人とも結婚しているから大丈夫だよ」というと「そうか」と言われ、「残りの皆を呼べ」とチーフラビが言うと全員の前でユダヤ人になるには、という説教が始まりました。

こちらはいつ質問されるかと構えてまってましたが、そのまま「はい、解散」となり、先生の車に乗った途端に先生が大声で笑い始めたので、「一体何が起きたですか?」と聞くと先生曰く、「君は運が強すぎる。改宗に合格したよ」と言われて拍子抜けしたのを覚えています。

それから男性は割礼、沐浴を受けてユダヤ人になる訳ですが、割礼に関してはまた次のお楽しみに。

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