急速化する地球の温暖化により、渡り鳥の同期メカニズムに狂いが生じ、品種の絶滅をもたらす恐れがある。このような結果がイスラエルの研究者達が実施した調査によって明らかになった。今回の研究結果はScientific Reports誌に掲載されている。「気候危機は、地球上の全ての生命体に壊滅的な影響を及ぼす。これらの変化は、既に渡り鳥の将来に現実的な危険となっている」と研究者達は懸念している。
アフリカからヨーロッパの巣作りに向けて、毎年イスラエルの上空を数百万羽の渡り鳥が通過していく。渡る季節のタイミングと、繁殖期の目的地への正確な到着は、種類の将来の世代を確実にするために、これらの鳥の存命と繁殖の成功の為には致命的なことである。過去数十年間で地球の温暖化の影響は、ヨーロッパでの巣作り時期の開始のタイミングにも影響が感じられており、巣作りの地域に鳥が到着する時間と、巣作りに最適な条件との間に不一致を引き起こしている。ヤアラ学者の研究は、自然保護協会のエルサレム・野鳥研究ステーションとテルアビブ大学との協力で実施され、通過ステーションでの鳥の到着への地球温暖化の影響を調査することを依頼した。イスラエルは様々な渡り鳥の通過場所でもある。
ヤアラ学者は他の研究員の協力と共にシマムシクイ、ズグロムシクイとシロビタイジョウビタキに何が起きているかを調査した。研究員達は、2種類で懸念する変化を確認した。シマムシクイはイスラエルに到着するのが早くなり、シロビタイジョウビタキはオスが早く移動し始めるのを確認した。メスはオスが到着した後にイスラエルへ到着した。
ズグロムシクイには何の変化も見られなかった。「もしかすると温暖化の結果により、オスに移動する合図によって早く移動し始めたのかも知れない。渡り鳥は、数千キロメートル先で起きている変化に自身を適応させる必要がある。この同期は渡り鳥にとって致命的であり、巣作りする場所の気候も存命に致命的である。一歩間違えれば絶滅することになる。消滅してしまうのだ」とイスラエル自然センター局長のヨッシー研究員は語った。
「様々な種類の渡り鳥は、移動中のコースに沿った幾つかの場所を手掛かりにしており、コースに条件変化が起きたかを予想することはできず、それに適応することは出来ないので、予想されない変化にはとても脆弱である」と、オーストラリアのニューイングランド大学のアハロン学者は説明した。渡り鳥に対する地球温暖化の影響への証拠は毎年追加され、鳥のライフサイクル全ての段階での影響が含まれている。干ばつや困難な気候減少は、長い旅に出るまでに多くの食料によって脂肪とエネルギーを蓄える場所で「給油所」である、アフリカでの生殖地と食料の消失を引き起こしている。
アハロン学者はまた、「イスラエルなどの休憩場所では、人口増加、それに伴う建設加速と道路の舗装などが移動時期の変化に加えて、移動の継続に必要なエネルギーの取り戻しと脂肪の蓄積を困難とし、ヨーロッパ北部での巣作り地域では気候の変化が急速に起きており、その為に巣作りの時期も早まり、遅れてくる鳥達に移動を無事に終わらせることと、次の世代を成長させるチャンスを与えない。渡り鳥の多くの種類を失わないことを保証するためには、どの種類に変化する環境に自身を適応させる柔軟性が無いのかを理解し、急速に変化が起きている地域での保守の努力を集中化させるべきである」。
「今日既に明確であるのは、気候危機が地球上のあらゆる生物に様々な影響と破壊を引き起こすことである。イスラエルでは既に上昇する気温や、変化する季節時期は人間にも感じられ、不安と農作物栽培への影響を与え、アフリカからヨーロッパの巣作りの地域までの長い旅で、致命的な休憩場所として利用されているイスラエルの渡り鳥にとっては、これらの変化は未来への現実的な危険となっている」とも語った。