イスラエルへ運ばれたホロコースト犠牲者を運んだ2車両の物語

 ホロコースト時にヨーロッパの死の収容所へユダヤ人達を運ぶことに利用された、知られているオリジナルの車両は、全世界で24車両存在している。その内の2車両はイスラエルにあり、一つはネタニヤの息子達の記念館入口、もう一つはニール・ガリーム村にある。ロニー氏と、イスラエルに来てユダヤ教に改宗したドイツ人の配偶者タティアナ氏は、2014年に個人のプロジェクトとしてこれらの車両の一つをイスラエルへ持ってきた。「改築してからネタニヤに置き、1週間に3回一般公開している」とロニー氏は語った。「車両を開けてその中にある物語を教えることが重要だ」。

 これらの車両はナチ政権へのサービスとして、ヨーロッパ全土の数百万人のユダヤ人達を死の収容所へと運び、換気、食料や水などの基本的な条件も無しで、通常1車両ずつに100人まで詰め込まれていた。移動は通常1日から2日間かかり、最後の駅で下車したユダヤ人達は直ちに死に追いやられた。その内の約150万人がこれらの車両から生きて出ることが出来なかった。ヤッド・バシェムにある車両は、本物のドイツ製車両ではなく、記念碑として置かれている。

 75歳のロニー氏は、2013年にベルリンを訪問中に、この車両をイスラエルへ持ってくることを決心した。当時彼の手元には、ホロコーストで殺害された、全く知らない親戚に関する情報書類が届いていた。「家では全くホロコーストに関しては話してくれず、誰も何が起きたのか教えてくれなかった」。だいぶ後になってから当時の話を聞いたと説明してくれた。「犠牲者の人達が忘れられないように、又自分の魂の為にもやることを決心した。本物のドイツ車両を発見するのは容易ではなく、戦争当時のように復元して保存するのも大変であった」。

 寄付のお陰でこの企画は実行に移され、ナチによって死の収容所へユダヤ人達を送ることに利用された、20世紀初頭にドイツで製造された本物の車両が1月24日にネタニヤの「息子達の記念館」に設置された。「Munchen2246」と命名された車両は、2013年にロニー氏と、彼の配偶者でありホロコースト専門家であるタティアナ氏、ネタニヤ在住のホロコースト生存者のラヘル氏によって発見された。3人はボランティアでこの車両をイスラエルへ運ぶことに従事し、この車両を設置することによってホロコースト犠牲者の記憶の保存を支援し、一般市民が知識を深めると信じている。

 「車両のカギは自分が持っていて、ボランティアで見学ツアーを行っている」とロニー氏は語った。説明中に彼が最も感動するのは、車両の中に刻まれている無数のダビデの星を示す時だ。「海上輸送する時に壊れないよう、車両の復元と保存作業中に発見されたダビデの星である」。車両内の金属部分を洗浄中に、2枚の扉付近に刻まれたダビデの星が発見された。

 「世界では唯一のものだと思われる。ドイツ人によって強制労働されていたユダヤ人が作成したものと思われる。多分メズーザ(家のお守り)の代わりとなるようにダビデの星を刻んだようだ。この車両に刻まれた3個のダビデの星を毎回示す時に、悲しみと勝利の感情が入り混じっている」。

 去年の8月にコロナ禍でもう1個の本物のドイツ車両が、ハンガリーと東ヨーロッパ諸国のホロコースト生存者が建設したイスラエルのニール・ガリーム村へ運ばれた。この車両はドイツの機関車博物館から到着した。

 ホロコースト記憶証明の家の責任者であるラヘル氏は、コロナ禍でドイツの博物館が経営危機に陥ったため、この車両を購入することが可能になったと説明した。「多くの障害と官僚主義を乗り越えた。良い人達にも出会え、支払い、印税、税金、免除、関税、発送、海上と陸上輸送をやり遂げた。やっと車両が9月にアシュドッドに到着し、大型クレーン車で目的地に設置された。ニール・ガリームの証明の家だ。近い将来に専門会社によって保存され、生徒達、兵士達やホロコーストを学びたい市民達が訪問できるようになる」と語った。

 ラヘル氏は、この車両が村に到着した住民達の反応について語った。「治療所、買い物や郵便局に行く途中で生存者達はこの車両の前を通る。一部は次の世代の為のホロコースト記憶を残す為の多大な重要性を理解し、一部はこの車両が未知の場所へ酷い車両の中で何日間も運ばれた苦痛を思い出す」。

 「車両が到着する数週間前に、証明の家では同村のホロコースト生存者達に、物語、書類やその他の記憶を収集することを依頼した。突然黄色くなった用紙に書かれた手紙が幾つか発見され、アウシュビッツに向かう途中の車両内で書かれたものであり、勿論これらの手紙は何処にも発送されていない」。

 「これらの手紙はハナ氏の父親と姉妹達によって書かれ、彼女はこれらの車両で送られていた当時は8歳であった。これらの手紙の中で家族は、ブタペストに隠れている兄弟達の安否を問い、今後の不安を語っている。これらの手紙は死の収容所の障害を全て乗り越えて残った。この車両が証明の家に用意された線路の上に設置されるのを見たホロコースト生存者の一部は、いつかは青少年達や子供達がこの車両を訪問し、中に入ってどのような条件で死へと送られたかを見ることが出来るという思いで感動していた」とも語った。

 「最愛の息子ユダ!」と、1944年7月28日にハンガリー語で書かれた手紙に記されている。「残念ながらあなたの住所を知らず、シェバフ氏を通じて書くことしかできない。我々は車両の中にいて、何処に行くのかも分からない。世界創造の主に、我々が早急に再開出来ることをお願いしている。自分の身体を大切にし、沢山の愛情をこめてシェバフ氏に手紙を書いてください。キッス。ミリアム」。

 黄色くなったもう一通の手紙には、「最愛なる子供達、我々は車両の中にいて、何処に行くか分からない。父とミリアムが全てに関して書いている。身体に気を付けて。また会えることを願っている。全員で一緒になること以外にお願いはない。良き創造主は我々を助けてくれる。道のりは疲れるが、良い場所に到着するよう願っている。また次に手紙を書く。出会える日まで、キッス。父と母より」と記されている。家族の一部は殺害され、ベルゲン・ベルゼンに到着した一部は助かってイスラエルへ帰還した。

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