イスラエルとハマスのコロナ合意の損得

 イスラエルとハマス間との合意で終了したと思われる今回の風船焼夷弾と爆弾によって、ガザ地区内の市民の状況を改善しようとハマスは希望を持っていた。それに反してイスラエルは今回の小競り合いを早急に終わらせ、空軍と地上戦を巻き込んでの状況悪化の回避を望んでいただけだった。

 イスラエルは望みを達成したが少々時間がかかった。風船焼夷弾とロケット攻撃は数週間継続し、ガザ周辺の主に牧草地や森に大きな被害をもたらした。人的な被害は精神的なものだ。ガザ周辺に住む子供達への精神的な支援は、この期間で10%以上も上昇した。

 今回の小競り合いは以前ほど悪くはなく、ロケット攻撃も20回以下でイスラエル側の負傷者はシュデロット市で軽傷が一人、ロケットや風船爆弾攻撃による直接の負傷者はゼロだ。イスラエル軍のハマス拠点に対する攻撃も、将来的にロケットの連続攻撃や長期攻撃のような状況悪化を弱体化できるようになった。

 最初はエジプト諜報部、平行してエジプトとカタールの仲介を通じて行われてきた両者間の交渉中、イスラエルはハマスが保持しているイスラエル兵士と市民の遺体返還に関しては真剣な要求をしなかった。今回の交渉は小競り合いを止めさせることであって、それ以外のことでハマスに圧力をかけない方が良いと判断したからだ。交渉の場で遺体返還の話は出たがそれ以上の話にはならず、どちらも結果を待ってはいなかった。

 ハマスも手ぶらでは終わらなかったが、全ての要求を得たわけでもない。ハマスはカタールからの支援金(月$100)受給者の数の2倍、10万家族から20万家族への増加を要求した。これはカタールが承認したようで、カタールからの支援金は毎月総額3千万ドル(30億円)となった。これにはガザの火力発電所の燃料代の約1千万ドルも含まれている。

 イスラエルはガザへの燃料供給を再開し、ガザ内での1日平均4時間の電気供給が20時間となる。しかしハマスの要求であるカタールの支援金期間の1年間延長に対してカタールが同意したかどうかは定かではない。

 カタールの支援は今月で終了する予定であり、最低半年間は延長されると思われる。カタールが2週間前にそのように言及しているが、ハマスが要求した2倍の受給者数と燃料代も含めて延長されるのかは不明だ。

 またハマスがイスラエル、エジプトとカタールから要求している土木、経済と衛星プロジェクトもどうなるかは不明確である。イスラエルが許可する必要があり、カタール、トルコとアメリカが援助しなければならない。検問所付近に設置する屋外病院もその一つだ。 ハマスの発表ではこれらのプロジェクトに関しては交渉を継続するという通達であり、まだ合意がないということは将来またこれが状況悪化を招く火種になるかもしれない。

 漁業水域を15マイル拡大、ケレム・シャローム国境所の再開と燃料の供給は、ハマスの風船攻撃を止めさせるための切り札であった。現在合意の後に状況も元に戻り、ハマスの得たものはカタールの支援金増加と延長、そしてイスラエルの人道的支援と商用的関係である。

 ここで大きな課題であるのが、イスラエルへの出稼ぎ労働者数を10万人に増加するハマスの要求であり、イスラエル国内諜報部はこれに反対しており、ハマスもこの要求を次への交渉へと持ち越したようで、もしかすると微小な出稼ぎ労働者増加の約束を得たのかも知れない。

 すべての交渉はコロナの影響下で行われ、両者とも状況が悪化しないように慎重に行動し、特に感染状況が悪化しているガザでは長期戦を回避することに力を注いだ。

 ハマスはイスラエルに対して支援を要求し、それにイスラエルも可能な限り対応すると答えている。UAEからガザに支援物資の飛行機が飛んできたが、それをPLOとハマスは拒否した。イスラエルはハマスが考えを変え、それを受け入れることを可能としている。

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