イスラエルの剣闘士闘技場を発見した教授を辿って

 故アモス・クローナー教授は去年永眠され、第二神殿時代への入口を一般市民に公開し、我々の先祖の興味ある古代の生活様式に触れて知ることが出来、古代イスラエルの地で同時に存在していた他の文化も学ぶことが出来る、特にユダ低地とエルサレムで発掘した素晴らしい特殊な遺跡を数多く調査した考古学の突出した先駆者であった。クローナー教授の死から約1年半後に、バル・イラン大学イスラエル国研究考古学部の研究者であった教授の最も有名な地下都市遺跡で興味深い楽しい現地訪問に参加した。今回の訪問はバル・イラン大学上級考古学者のボアズ教授が主催し、イスラエル国内の考古学発掘現場で最も多くの冒険を子供の時に体験したクローナー教授の息子アサフ氏も同行した。

 朝早い時間にベイト・ゴブリン遺跡のローマ時代円形闘技場の入口で集合し、これもクローナー教授の突出した発見物の一つである。完全の円形である闘技場でスタンドの座席と、約二千年前のローマ観客を楽しませるためにアリーナに現れて戦った剣闘士や野生動物が使用した地下トンネルも含んでいた。特に印象的な考古学遺跡であり、巨大な石で建設され、とてもいい状態で保存されている。失望的なコロナの時代で、この特殊な考古学遺跡を訪問することは、イタリアのコロセウム訪問に代わる息抜きの旅行となる。

 アリーナの中心に立ってみると、周りの数百の座席には二千年前にここで騒ぎ、血と娯楽を渇望する熱狂的なローマの群衆で満たされていたことが容易に想像できる。この素晴らしい遺跡の科学的重要性についてボアズ教授が説明した。「今回の発掘は、イスラエル国内に保存状態がとてもいいオリジナルのローマ円形闘技場があるということを意味している。イスラエルにこのような状態の遺跡を発見することは、とても特殊で素晴らしいことである」と教授は語った。剣闘士と野生動物が使用したトンネルを案内してもらい、神秘的な剣闘士の秘密のライフスタイルに関する珍しい研究過程で見つけた、多方面に渡る非常に興味深い詳細を共有してくれた。

 クローナーの息子は「考古学者の説明」に耳を傾けていなかった。「親父もしょっちゅう考古学のことばかり話していた」と思い出す。「グラディエーターという映画が上映された時、親父と一緒に映画館に観に行った。映画の途中で親父がどのシーンが正しいか間違っているか、又は歴史的な観点で何が違うかを説明してくれたが、こんな説明を受けながら映画を鑑賞するのは不可能だ」と語った。

 クローナー教授は円形闘技場の発掘中に死にそうになったことがあった。トンネルの狭い入口から中に這って入った後に、彼は直感的に這って行く方向が円形であり、地下に埋葬されている巨大な円形闘技場の形状に適合していると結論付けたが、同時に彼は洞窟ダニ刺され、危険で残酷な洞窟熱に感染してしまった。

 ローマ時代の円形闘技場を出て、アサフ氏は案内標識のところで立ち止まり、父親の名前を見つけて誇らしく指さした。「自分は親父が世界で一番の誇りと思っている。彼の発見は永遠に語り継がれるからだ。親父はここで巨大なプロジェクトを能率的に管理し、数十トンの土砂を掘り、この素晴らしい遺跡をゆっくりと発掘していった」と語った。

 次の訪問は、クローナー教授の考古学的遺産とされる、地下ヘレニズム都市テル・マルシェーだ。ベイト・ゴブリン&マルシェー国立公園の入口で、国立公園監視員のイーガル氏と会い、クローナー教授を記念する記事を撮影しに来たと説明すると、彼はそれを聞いてとても感動していた。「教授は自分の先生だった。彼の名前を皆さんから聞けることに感動したし、アモス・クローナーといえばベイト・ゴブリンだ!」と語った。

 1989年に「ベイト・ゴブリン&マルシェー国立公園」と命名され、第二神殿時代に合った巨大な都市遺跡を保存するのが目的であった。クローナー教授の功績により、2014年にベイト・ゴブリン&マルシェー国立公園は、ユネスコによって国家遺産として指定された。まばらな灌木と巨大な建物の遺跡がある野性的な景色の中をドライブしながら、ボアズ教授は歴史的な背景を説明してくれた。「テル・マルシェーの古代都市は、320エーカーの敷地に建設されている。現時点で169個の地下構造が発見されており、一つ一つがとても複雑な仕組みになっている」。

 イスラエルで最も有名なトンネルの入口に車を停めた、コロンバリウム洞窟(鳩小屋)である。素晴らしい石の階段を降りると、地下の涼しい空気に包まれ、そのサイズが印象的な地下広間に入れるようになっている。洞窟の天井は三階くらいの高さで、石の壁には数千のミステリアスな四角い穴が掘りこまれている。ボアズ教授はこの特殊な遺跡の発掘当時に関して教えてくれた。「1989年にクローナー教授がここに発掘チームと一緒にやってきてこの鳩小屋を発掘し、皆が訪問できるように入口を開いてくれた」。

 大きな照明で鳩小屋洞窟の中を照らしてみると、その大きさや古代の採石の美しさに感動する。アサフ氏はとても感動していた。「子供の頃この洞窟は土砂で一杯で、這って中に入ったことを思い出す。親父が掘った洞窟にこうやって入ってみると、親父が発見した場所にいるという思い、また数千の人達がここにきてその美しさを称賛していると思うと誇りの気持ちで一杯になる。長期間この場所に関する議論が行われたのも覚えている。この洞窟は農業の鳩小屋であったのか、それとも地下墓所として使用されたのかということだった」と語った。

 ボアズ教授はこのチャンスを生かし、大陸を越えて世界中やイスラエル国内の考古学界において長年に渡って吹き荒れた議論のルーツに関しての情報を教えてくれた。「クローナー教授調査によると、上質な農業用肥料と宗教儀式用として糞を生産するために、鳩を飼育していた鳩小屋洞窟である」と説明してくれた。

 次の訪問場所では古代ヘレニズム都市マルシェーの住民が、ユダ低地の柔らかく有名なチョーク岩に掘った地下都市、無限のトンネル迷路と素晴らしい貯水池が垣間見れる。クローナー教授は地下都市発見の巨大な発掘プロジェクトを管理し、多くの発見物は紀元前三世紀頃にここに住んでいたエドム人、フェニキア人とヘレニズム人などの住民を含んだ国際都市の独特な文化を理解する上で、重要かつ国際的な突破口をもたらした。

 ボアズ教授は、地図に「エリア53」と記された素晴らしい石造り家の遺跡を通り、建物内の部屋の一つに入っていった。証明で照らしながら岩に掘られた無限の階段を下りて地中に入っていく。アサフ氏は子供の頃の楽しい発掘当時のことを思い出していた。「初めてこの中に入った時、這ってしか入れなかった。上にある小さい穴まで順番にバケツで土砂を取り出す必要があり、外で土砂をふるいにかけた。座って掘るという果てしなく退屈な作業であったのを覚えている。でも最後には2,300年前の漆喰を発見した」。

 クローナー教授の有名な発掘の中でも最も有名な最後の訪問場所は、シドン人の洞窟だ。同口の入口に車を停め、素晴らしいガムの木の枝が出ている小道を上っていくと、白色の岩に掘られたミステリアスな地下墓所の洞窟入口が見えてくる。中に入ると涼しい空気が我々を覆うが、直ぐに古代洞窟の中にある並外れた美しい景色の感動へと変わる。白色の墓室が幾何学的に岩に掘られ、壁面は脈同感溢れる野生動物、狩猟シーンや神話上の動物の色彩豊かな壁画で一杯である。ボアズ教授は、この場所を建設したシドンの富裕層に関する興味深い埋葬習慣に関して説明し、アサフ氏はいつもの通りに何も聞かずに案内標識へ向かい、父親の名前が正確に記されているかを調べていた。

 「歴史に興味がない訳ではない、しかし親父に関して正しく表記しているか調べるのが重要だ。親父の名前がや功績が遺跡の一部として表示されているのは心温まる。親父は79歳で病死したが、全身全霊で考古学に従事してきたし、家長でもあった。親父の数十年に及ぶプロジェクトや仕事の主な部分を今回の訪問で見学したことはとても感動的であった」とアモス氏は語った。

 シドン人洞窟の中で心地よい涼しさと静けさに浸りながら、ボアズ教授に考古学のパートナーとして、また長年の友人として付き合いがあったクローナー教授のことを聞いてみた。「クローナー教授は素晴らしい講師で、多くの研究者を生み、マルシェー研究に専念してきた。クローナー教授は第二神殿時代のエルサレム研究に多く貢献し、リモン遺跡のシナゴーグ発掘、ローマへのユダヤ人第二次反乱時代の地下トンネルシステムなどを発見し、彼の功績なしにはそれらに関して殆ど知ることもできなかったであろう。考古学の道に多く影響を与え、彼と共に仕事することは楽しく、科学的根拠を形成する上でも彼には重要な役割があった」と語った。

 これにはアモス氏も耳を傾け、涙を目に浮かべながらボアズ教授をハグした。「親父の笑顔と子供のような熱意が一番懐かしい。国内や世界で家族旅行した時には、色々な遺跡で説明をしてくれて、自分はそれに聞き入っていた。親父の残した功績は偉大であり、皆にとって大きな誇りである」と語った。

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